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オヤジ3
WHITE/BLACK REFLECTION
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】

書き込みレス一覧

【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
913 :オヤジ3[sage]:2011/01/12(水) 14:50:42 ID:Qb0m+FHI0
できた……!
ようやく、最期のセグメントが完成した!

と、いうわけで、本編最後のができました。
わりと短いですけど。

投下してもいいですか? レスポンスなければ、15:00から投下始めます。
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
914 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:01:29 ID:Qb0m+FHI0
それでは、投下開始します。
NGはいつものように「WHITE/BLACK REFLECTION」

では、どぞ〜。
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
915 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:03:47 ID:Qb0m+FHI0

 それまでのワイシャツ姿から一変、子供時代のバリアジャケットを長ズボンにしただけの戦闘衣を身にまとったユーノは、周囲に複数の空間モニタを呼び出した。

 そして彼は、号令を下す。
 この事件を終わらせる、最後の号令を。

「行くよ!」

《アイ、サー。管理者の指定した対象を、即時殲滅目標と認識。攻撃コード:ジェノサイド。近隣の関係者の皆様は──》

 無限書庫の中に、数多く高密度の魔力溜まりが生まれる。
 無数の向日葵が、黒色の太陽に向け花開いた。



《──不意の衝撃に、ご注意ください》



 四方八方から怪物に向け、怒涛のごとき速射砲が叩きこまれる。
 変態の結果発声器官を失った怪物は、悲鳴をあげることもなく爆音の渦に飲み込まれた。

 これだけの魔力砲を叩きこめば、先ほどまでのように体の形を変えて回避しようにも、かわしきることはできない。
 一撃一撃がなのはの砲撃をはるかに超えた、戦艦の主砲クラスの魔力砲は、確実に怪物の体力を削っていた。

 だが、戦闘以外の存在意義を持たない怪物は、攻撃行動をやめようとしない。
 立ち込める煙の中から、太い漆黒の矢が、ユーノに向け飛んだ。
 大質量の凶弾が、高速で飛来する。

「っ、ユーノくん!」

「ユーノォ!」

 先ほどの惨劇がフラッシュバックし、悲鳴をあげるなのはとフェイト。

 だが、ユーノは余裕たっぷりの微笑みを浮かべると、そっと右腕を突き出した。

「大丈夫、問題ないよ」

《『ランバート』、起動》

 ユーノの右手のひらを中心に、八角形の盾が、放射状に展開する。
 背後の仲間も守るようにそびえたつ金色の盾は、真正面から怪物の一撃を受け止め、微動だにしなかった。

 傷ひとつ、つかない。

「────────────────────────ッ!」

 怪物が、初めて感情のようなものをあらわした。
 それは怒り。もしくは、焦り。
 戦うために生み出された、意思を持たない破壊兵器は、初めて出会う自分の攻撃が通じない相手に激昂する。

 言葉は、ない。
 ただ、その殺気で、空気が震えた。

【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
916 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:05:09 ID:Qb0m+FHI0

 自らを打ち据える砲撃に構わず、その身を削りながら、怪物は矢を撃ち出し続ける。
 圧倒的大質量、高出力、超速度の砲雨を撒き散らした。
 本来ならそれは、あたり構わずに破壊の海を生み出す、暴虐の化身。

「……無駄だ。その程度の攻撃では、無限書庫は落とせない」

 だが、全てを守る城壁には、傷ひとつつけられない。
 ユーノ・スクライアに、無限書庫司書長に、傷ひとつつけられない。

 駄々をこねる赤子のように、怪物は、撃ち続けた。
 矢を放つ度に、砲撃に打たれる度に、その身を小さくしていきながら。

 何故、何故、何故……、と。
 自分は、自分は──ッ!



「──、──────、────────────ッッッ!」



《砲撃、一時中止します》

 一際巨大な矢を放ったのを最後に、怪物は、沈黙する。
 それを見て取ったユーノは、す、と右腕を上げ、砲撃を中止させた。
 同時に、ユーノたちを守っていた障壁も、音もなく消失した。

 煙の晴れた向こうに見えた怪物は、ぼろぼろになっていた。
 見上げるような巨大な体は幼児ほどの大きさになっており、その体もぼろ雑巾のようにズタボロだ。
 ところどころがへこみ、穴が開き、それを直すことすらままならない。
 そのシルエットはかすんでおり、既に消えかけている。

「さて、この長い事件も……」

《『グラビディバインド』、起動》

 満身創痍の怪物を、強烈な重力が締めつけた。
 もはや動くこともままならない怪物を見据えながら、ユーノが上げた右腕を周囲の書架に向け伸ばすと、その内一冊が飛んできてその手に収まる。

 右手だけで開かれたそのページは、白紙。
 何も書かれていない本を右手に、左手のひらを怪物へと向けたユーノは、厳かに告げる。

「……これにて、終幕だ」

【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
917 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:06:43 ID:Qb0m+FHI0
《シーリング開始》

 怪物の体が、右手の本へと吸い込まれた。
 もはや抵抗らしい抵抗もなく、白紙の本に高速で字が走る。

 ……そして、その最後の一欠けらが本に吸収される直前。



 ──ありがとう。



「──ッ!?」

《シーリング完了》

 驚いたユーノが手元の本を除き込むが、封印作業を終えたそれは、モノを語ることはない。

《脅威の消滅を確認しました。自己防衛システム停止、ロック開始。警戒レベルをAからNへ。無限書庫、通常モードに復帰します》

 次いで、無限書庫にかけられた非常体制が解除され、内部と外部をつなぐ転送装置に火が入った。
 しばらく物言わぬ本を見つめていたユーノは、やがてふぅ、とため息を吐くと、背後で心配そうに彼を見つめる仲間に振り返る。

「……どうしたの? ユーノくん。複雑な顔、してる」

 そう言って心配気に近づいてくるなのはを、無言でユーノは抱き寄せた。

「ふ、ふぇっ!?」

 慌てて暴れる彼女に構わず、ユーノは両腕に力を込めた。
 二人の感触を、鼓動を、体温を、体全体で感じ取る。

 これは重みだ。
 彼が気づかず放置していた、彼が背負うべき、彼にとってなによりも大切な人生の足枷だ。
 その足枷を、ユーノは愛おしいと思った。

 最初はじたばたしていたなのは、やがて静かになり、自分の両腕をユーノの腰にまわす。
 自分の感情をようやく自覚した二人は、しばらく静かに抱き合った。

 その抱擁を、フェイトは、複雑な心境で見つめる。

(……これで、よかったんだ。二人が幸せになってくれれば、それでよかったんだ……)

《...Sir, are you OK?》

「ん、バルディッシュ……大丈夫、だよ。ずっと前から、分かっていたことだから……」

 愛機の気遣いに泣きそうな笑顔で返し、フェイトは、抱き合う二人に近寄った。
 それっきり、彼女は想いを封印し、胸の奥にしまいこんで、しっかりと鍵をかけた。

 近づいてきたフェイトに対し、二人は慌てて抱擁を解き、きまり悪そうな表情になる。
 そんな二人に苦笑して、フェイトは、祝福の言葉を紡いだ。

「やっと、だね。二人とも──」

「──あー、ごめんフェイト。ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
918 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:07:54 ID:Qb0m+FHI0
「……なに?」

 紡ぐ、つもりだった。
 しかし、その言葉を中途で止めたユーノに対して、フェイトはいぶかしげな表情でうなずく。

 そんな彼女に、非常にきまり悪そうに、ユーノは切り出した。

「え、ええと。こういうとき、どう言えばいいのか分からないんだけど……」

「……なに?」

「えっと、あの、その、ね……」

「……あ、私、席外そうか?」

 どもるユーノに気をつかったなのはが、その場から離れようと動く。
 そんな彼女の腕をユーノは慌てて掴み、引き止めた。

「ま、待ってなのは! これはその、なのはにも関係のある話というか、僕たち三人の話というか……」

「……分かったよ。それで、なんの話?」

「う、うん。あの、その、ね……」

 二人の女性に見つめられ、ユーノは、視線を宙でふらふらとさせる。
 言わなくては、そう思えど、いまいちふんぎりがつかないのだ。
 だが、これ以上長く宙ぶらりんにしておける問題でもない。

 覚悟を決めたユーノはごくり、と生唾を飲み込むと、ゆっくりと口を開いた。
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
920 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:10:48 ID:Qb0m+FHI0
「……僕は、無限書庫の司書長だ。それと同時に、研究者でもある」

「知ってるよ」

「研究者っていうのは、強欲な生き物なんだ。世界の全てを知ろう、なんて、人の身に余る欲望を持っている」

「うん」

 ぽつぽつ、と脈絡のない話を始めるユーノの言葉を、二人は真剣な表情で聞き、交互に返事してくれる。
 その事実が嬉しくて、ありがたくて、ユーノは、言葉にのせた想いを一層強くした。

「そう、僕は強欲なんだ……だから僕は、大切なものを傷つけたくない。ただのひとつも、傷つけたくないんだ。だから……なのは、フェイト。男勝手な話だってことは分かってる。だけど──」

 そこで、ユーノはすうっ、と息を吸い込んだ。

 自分のエゴを、想いをぶつけるため。
 目の前で固唾を飲み、じっとユーノの話を聞いてくれる、愛しい女性たちに。



「──二人とも、幸せにしたい。そんな、優柔不断な僕を……許して、くれる?」



 二人の返事など、はじめから決まっている。
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
921 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/12(水) 15:13:12 ID:Qb0m+FHI0
以上です。

次回エピローグが入りまして、そこで本当に終わりです。
また、今回分までで理想郷にまとめあげします。
微妙に直したりしてますので、そちらもぜひ。

……ふぅ。
では、また次回。
今回はサル気にしなくてよかったから、楽だった……。
【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
924 :オヤジ3[sage]:2011/01/12(水) 15:14:46 ID:Qb0m+FHI0
う、うわわ、>>919さん、支援ありがとうございます!
やべぇ、見落としてた……疲れてるのかな……?


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