- 【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ119【無限書庫】
581 :オヤジ3[sage]:2011/01/04(火) 17:12:40 ID:wiBaBWon0 - ……ヤア、オッサンデスヨ。
空気読ンデナクテモウシワケナイ……これめんどいな、ええと、申し訳ないのですが、ようやっと続編出来ました。 ええ、空気読まずに、まったく鬱の欠片すらない続編ですとも。 ……てなわけで、投下してもいいですか? レスポンスが無ければ、25分くらいから投下開始します。
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583 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:24:11 ID:wiBaBWon0 - wktkされたら、予定を早めるしかないじゃないか!
はい、というわけで、投下開始します。 NGはいつものごとく『WHITE/BLACK REFLECTION』です。 ……あ、それと。 今回、無駄に長くなっちまったんで、支援砲火が欲しいです。 一発でいいので……もう、もうサルはいやだぁ!
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584 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:27:09 ID:wiBaBWon0 -
虚空を、極太の光条が薙ぎ払った。 圧倒的大質量から放たれる、圧倒的な魔力砲。 小細工などいらない、ただそこに存在するだけで、敵対するものに恐怖を与え、蹂躙し、駆逐する。 慈悲などなく、憎悪もない、無機質な破壊の怪物。 ──つまり、そういう兵器なのだ。エンデ・デアヴェルトとは。 「ちぃっ……皆、無事か?」 光線を回避したクロノは、油断無く敵を睨みつつ、仲間の安否を問う。 その視線の先で、元々シビック・ガニマールという名の人間であった怪物は、大きく開いた口を閉じていた。その口の端には、うっすらと魔力砲の残滓が残っている。 ややあって、なのは、フェイト、はやての順で、返答が帰ってくる。 「な、なんとか……こっちは、大丈夫だよ」 「私も大丈夫。はやては?」 「同じく、や。司書の救護脱出も、武装局員の手で完了しとる。書庫の封鎖も順調や」 三人のセリフに、クロノは満足気にうなずく。 そして、自分の真後ろ、今返事をしなかった者に振り返った。 「よし。……ユーノ?」 クロノに呼びかけられたユーノは、返事をしつつ、首をすくめる。 「はいはい、説明だね?」 「そういうことだ」 「エンデ・デアヴェルトは、さっき言ったとおり寄生型のロストロギア。古代ベルカ時代に作られた決戦兵器で、魔導師を依り代に、巨大な怪物を顕現させるものだ。 ただし、発動時点で依り代となった魔導師が原子レベルにまで分解されることや、現れた怪物自体に理性が存在せず、いかなるコントロールも受け付けないことから、欠陥兵器とされた。 ただ、一部文献によれば、戦場で敵地の真ん中にコレを装備した低ランク魔導師を特攻させ自爆兵器として使用していたこともあるらしい」 ユーノが説明をしている間に、怪物が口を開き、魔力砲の再チャージを開始する。 それを感知したリインは、ユニゾン中のはやての中から警告を発した。 《敵、第二射用意! 危険です、逃げてください!》 「大丈夫だよ、さっきのでも分かったと思うけど、あの魔力砲はチャージにかなり時間がかかる。発射まで、後5分はあるはずだ。 ……それで、説明の続き。あのロストロギアは、そういうわけで、最初から軍事目的で作成されたものだ。だから、こと戦闘という側面においては、他の暴走ロストロギアとは比にならない。 そうだね、分かり易い例で言えば……あの怪物は、闇の書の闇の数十倍の防御力、そして攻撃力を持つ」 「……なあ、ユーノくん。それ、マジなん?」 「大マジも大マジ。事実、アルカンシェルを純粋な魔力砲としてみれば、あの出力だと……計算上、46発半を直撃させる必要がある」 「そ、それは、まずいんじゃないのかな……?」 闇の書。ここにいる人間全員にとって、因縁の深いロストロギアである。 その闇、と呼称される怪物は、闇の書、正式名称夜天の書が、長年の遍歴の中改変される際に蓄積したバグの結晶であった。 圧倒的戦闘力に再生能力を誇るソレを、当時のなのは達は、力を合わせ撃退。最後はアルカンシェルによってバグ本体を消滅させ、さらに管制プログラムが消えることによって事態は終結を見た。
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585 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:28:21 ID:wiBaBWon0 - だからこそ、闇の書の闇と戦ったことがある人間だからこそ、分かる。
もし、ユーノの言うことが本当なら……このロストロギアは、半端ではない。 その場の、ユーノを除く全員の背に、嫌な汗が流れる。 が。 ユーノ・スクライアは、笑みを見せる。 他者を安心させるような、朗らかな笑みを。 「大丈夫。アレは、倒せない相手じゃないよ」 「で、でもユーノくん! そんな装甲の相手じゃ、私達の攻撃、かすり傷も付けられないよ!? まさか、無限書庫にアルカンシェルを撃ち込むわけにも……って、わきゃ!?」 「大丈夫」 なのはの頭に、優しく、華奢で、しかし大きな男の手が乗る。 突然のユーノの行動に、なのはは言葉を失ってしまった。 「大丈夫だよ。みんなが、僕を信じてくれれば……あの怪物は絶対に倒せる。絶対に、だ」 「……ほ、ほんとう?」 「もちろん。だからなのは、僕を信じて……あ痛ッ!?」 なのはを撫でるユーノの右手に、一瞬、鋭い痛みが走った。 “電気を流された”ような感触に思わず首をめぐらせれば、そこには、恐ろしい笑顔の金色夜叉が。 「……ユーノ。状況、分かってる?」 「ご、ごめんフェイト、ふざけてるつもりはなかったんだ! ただ、なのはの緊張を解そうと……」 「そ、そうだよフェイトちゃん! だから、落ち着いて!」 「無関係のなのはは黙ってて! ……まったくユーノは、どうしてこういつもいつも……」 「ちょっとフェイトちゃん、無関係ってどういうこと!? ことと次第によっては、あの化け物さんの前に……」 「……いいよ、なのはがそういうつもりなら、こっちだって──」 「──あーはいはい、仲間割れはまた今度な? とりあえず、二人共現状見よか?」 当のユーノを置いてけぼりにしてヒートアップする二人を、はやてはどうどう、と宥めた。 ついでに、手に持つシュベルトクロイツで二人の頭をコツン、と小突く。 あいた、と可愛らしく頭を抑える二人にため息をつきつつ、クロノはユーノに顔を向けた。 「──おいフェレットもどき、確認だ。アレを倒す策が、あるんだな?」 「その通りだよゴキブリ提督。他のどこでもない、“ココ”だからこそ、アレを滅ぼすことができる。……ただ、そのために……皆には少し、時間を稼いで欲しい」 「どのくらい?」
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586 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:29:49 ID:wiBaBWon0 - 「……10分。それだけあれば、カタがつく。そしてその間、僕は動くことができない」
ユーノの言葉に、クロノは肩をすくめた。 エンデ・デアヴェルトを相手に、10分。今のまま、膠着状態を維持するだけなら、不可能な話ではない。ビーム砲は連射不能でチャージ時間も長く、かわすことも容易いからだ。 だが、ユーノは「動けない」と言った。つまり、ユーノが狙われた時、彼は回避することができない。そして、その攻撃を防御することは、不可能だ。 つまり、クロノ達は、エンデ・デアヴェルトの懐へと潜り込まないといけない。戦闘用に作られたロストロギアの、懐へ。ユーノに向かう流れ弾に注意しつつ。 だが、クロノは、不敵に笑う。 親友の期待に、応えるために。 「……了解だ。その代わり、作戦成功の暁には……そうだな、第一食堂の鯖味噌定食でも奢ってもらおうか」 「あ、私ステーキ定食にするわ」 《お子様ランチのBセットがいいですぅ!》 「私は、ケーキバイキングが食べたいかな……?」 「じゃ、じゃあ私、ユーノくんとの一日夕食権!」 「あ、なのはずるい! やっぱり私もソレ!」 「ふふーん、だめだよフェイトちゃん。早いもの勝ち!」 「ぐっ……!」 「はいはい、喧嘩はまた今度な?」 なんだかんだと言いつつ、相棒を片手に、四人はユーノの前に立つ。 まるで、彼を守るように。 「……みんな、ありがとう」 「気にするな。もとより他に手などない、なら、やれることをやるのが管理局員だ」 「そう、だね。……じゃあ、みんな……」 怪物の口が、極限まで開かれる。 口からちろちろと漏れる魔力は、解き放たれる時を、今か今かと待ち望んでいた。 そして。 《敵主砲、エネルギー臨界! 来ます!》 「行こうか。管理局の局員として、その居場所を守るために。その責を果たすために。その魂を、見せ付けるために!」 「「《「「了解!」」》」」 再び放たれた極光をかわし、散り散りに、しかし想いはひとつに。 六人の戦士は、飛んだ。
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587 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:30:41 ID:wiBaBWon0 - ◆
知恵持つ魔杖、レイジングハートが、主の意を受け、その姿を変える。 丸みを帯びた魔導師の杖から、鋭角的な金色の槍へ。高出力砲撃と突進攻撃力を兼ね備えた、高町なのはの戦時兵装。 エクシードモード。 「突貫するよ!」 《All right, Strike Flame open ...A.C.S. driver ignition》 轟、という音と共に、なのはの体が前に出る。 対象は巨大にして強大、生半可な攻撃では傷ひとつ付かず、その攻撃力は一撃でこちらを墜とす。 だが、彼女に恐れはない。 不屈のエースは、こと一度戦場に出れば、絶対に迷わない。 「加速!」 《Load cartridge》 レイジングハート基部にある排気ダクトが、機械音を立てつつ一回伸縮。 その一発で、なのはさらに加速する。 目標は……再度魔力砲のチャージを開始した怪物の、顎。 「とりあえず、一撃目!」 加速の勢いそのままに、なのははアッパーカットを決めた。その一撃は強固な外皮を貫くことこそできなかったが、強制的にその大口を閉じさせることには成功する。 それによって、怪物の口中で収束していた魔力は、それまでの工程とは比にならない速度で圧縮された。 ただでさえ不安定な高密度魔力スフィアは、さらに不安定な状態へ。やがてその状態が維持できなくなり、 「グ、ゴオオオオオオオオオン!?」 爆発。 怪物の顔部分を、爆煙が包み込む。 「……やった?」 《Noap, Attack object is arriving》 その煙が晴れ、無傷の顎が現れた。 そう、無傷。この分だと、通常装甲が弱いとされる体内にも、外表面と同等の装甲が施されていると見ていいだろう。そもそも、生物ではないので当然かもしれないが。 「グルルルル……」 「あれ、怒っちゃった? まずいなあ、どうしよう」 《No problem, It's our job. ...Master, you look like happy》 「へ、そうかな? ……うん、そうかも」 絶望的状況下で、なのはの顔に浮かぶのは、笑顔。 それは、彼女が戦況を楽観ししているというわけではない。むしろ、ここにいる人間の中で一番戦闘知識を持つ彼女は、現状をよく理解している。 そんな彼女が笑うのは、ただ、嬉しいから。
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588 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:32:04 ID:wiBaBWon0 - 「久しぶりに、ユーノくんといっしょに、戦えるから。不謹慎なのは分かっているけど、嬉しいんだ。……背中が、あったかい気がして」
《...So, you mustn't be looked bad battle》 「もっちろん!」 レイジングハートの先に、桃色の魔力が集まっていく。 全力全開の、大威力砲撃。そのスタイルが確立する前、まだ魔法を知って間もないころに、自分に魔法を教えてくれたのは、フォローしてくれたのは誰だったか。 成長した今、その人に、無様な姿は見せられないから。 なのはは、今、この瞬間に、全力を尽くし続ける。 「行くよレイジングハート、力を貸して!」 《All right my master, it's my work》 「ありがとう、それじゃあ行くよ……ディバイーン、バスタアアアアアアアァッ!」 それは怪物の放つものよりずっと弱く、しかしずっと神々しく。 純粋な思いは、時に、全てを超越する。 ──そして、神の鉄槌が、怪物の脳天を打ち据えた。 ◆ 「……行くよバルディッシュ、出し惜しみなしだ」 《Yes sir, Sonic Form ...Riot Blade》 フェイトの体を金色の魔力光が包み込み、その装備を一新させる。 バリアジャケットは、速度を追求し、無駄なものを一切排除した高速戦闘形態に。デバイスであるバルディッシュは、大鎌から双剣に。 ──そして、フェイトは光となる。 《Sonic Move》 「はあああああああああっ!」 バルディッシュの機械音声を置いてきぼりにして、フェイトは怪物へと迫った。 閃。 高速の斬撃が、無数、怪物の右腕へと叩きこまれる。 鋭さと、速さを兼ね揃えた、全てが一撃必殺の斬撃。それを、連続して放つ。 フェイトの膨大な魔力量に、日々の研鑽、そして自身の魔力特性を駆使して放たれたそれは、正しく“出し惜しみなし”の全力攻撃。
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589 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:33:12 ID:wiBaBWon0 - 「……ぐる?」
……が。 それを受けた怪物の腕は、無傷。フェイトの攻撃は、ソレにしてみれば、虫に刺された程度の瑣末なもの そして、感情というものを持たぬソレは、フェイトの攻撃に関心すらも寄せはしない。 ──フェイトとて、そんなことは、承知していた。 「バルディッシュ!」 《Riot Zamber Calamity》 怪物の背後へと回ったフェイトは、バルディッシュの名を叫ぶ。 主人の意を即座に解したバルディッシュは、即座にモードチェンジを開始。根元を魔力ワイヤーで繋がれた双剣は、先端が二股に分かれた長大な大剣へと変形する。 その刀身に、込められるだけの魔力を込めたフェイトは、 「──っ、イアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」 裂帛の気合を込めて、怪物の脳天へと振り下ろした。 それでも、怪物の体には、傷一つ付かない。だが、衝撃そのものは怪物の総身を打ちすえた。 言わば、金属バットで頭をかち割られるような衝撃を受けた怪物は、なのはに続いてフェイトにも自身を傷つける危険性があると理解。 彼女を、攻撃対象と認識する。 「うわっ!? ……とと、狙い通り、かな?」 《Yes sir. But don't carelessness, OK?》 「大丈夫だよ、そこは。……はぁ」 《...Sir?》 荒れ狂う風をまとって、怪物の右ストレートがフェイトへと放たれた。 それを危なげなくかわし、フェイトは一端怪物と距離をとる。バルディッシュの注意には笑顔で答えた彼女だったが、その後、憂いを帯びた溜息をついた。 疑問の声をあげるバルディッシュに、フェイトはそっとほほ笑みを見せる。 「あ、ごめん。心配すること、なにもないよ? これは、私的な話だから」 《Sir, I am your device. So I have a obligation that manage your condition》 「……いや、別に、そんな気を使わなくても……ほら、私もう子供じゃないし……」 《But sir, you must have a trouble, and I say again, I am your device. I am your supporter and my work is supporting you all about things》 「そう……バルディッシュは、いい子だね」 フェイトは、バルディッシュの黒く輝く表面を、そっと撫でる。デバイスコアが、照れたようにチカチカと光った。 その様子を愛しげに見つめながら、フェイトは重い口を開く。
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590 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:35:03 ID:wiBaBWon0 - 「……私の入り込む隙なんて、ないんだよね。最初から」
《Ms.Takamati and Mr.Scrya's relationship? But, you are them friend》 「そう、友達だよ? でも、友達以上にはなれない。傍目には、違うかもしれないけど……あの二人の絆は、絶対に切れない、赤い糸のようなもの。私はそこに、お情けで入れてもらってるんだ」 《So ..., so, you give up your love?》 「……うん。だって、私は、あの二人に幸せにして貰ったから……だから、あの二人に、幸せになって欲しい。だから、あの二人のためなら、私はいくらでも傷ついていいんだ」 《Really? You think?》 「本当に。本当に、そう、思ってる……」 フェイトの答えを聞いたバルディッシュは、しばらく、黙ったままだった。 戦闘の音が、怪物の咆哮が、今は遠くに聞こえる。隔絶された時間、空間。現実はそうではないのに、そうと錯覚してしまう感覚。 そして、バルディッシュが、光る。 《...OK. sorry sir, I did impertinent behavior》 「ん、そんなことないよ。……ありがと、バルディッシュ」 《No problem》 そこで、主従の対話は終わり。 周囲の風景がモノクロから元にもどり、現実の時間が帰って来る。 もとより、戦闘中だ。本来なら、無駄話をしている時間などない。 だが、それでも。 最後に一言、誰にも、主人にも聞こえない声で、バルディッシュは付け加えた。 《But... I hope your, not them, only your happiness.It's strange, but it's my personally think》 ◆ ところ変わって、こちらは後方支援組。 「……なんや、複雑な感じやなぁ。こう、歯の奥になんか挟まった感じというか、なんてーか……」 《ドロドロのようでいて、そうではないんですよねぇ。でもこれ、例えばユーノさんがどちらか選んだとして、解決するような問題なんです?》 「んー……いや、むしろこのままの状態が一番バランスとれてるような、そんな気もするんやけど……その点、お兄ちゃんはどう思っとるん?」 緻密な計算による正確な照準が苦手なはやても、これだけ的が大きければ、リインによる補助だけで十分だ。 もとよりオールマイティタイプのクロノも、同上。 後方に下がっているのは、十分すぎるアタッカーが前線に出ているからである(本来後方支援担当のなのはが前線に出ている事実については、もはやツッコミを入れる方が野暮なので黙っておく)。
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591 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 17:36:33 ID:wiBaBWon0 - そんな彼らは、片手間にやっているわけでもないのだが、攻撃の集中しない後方にいることもあって、比較的余裕があった。
ので、前線にいる二人と、彼らのさらに後方でなにやら術式を展開している男との関係について議論する余裕は、十分にあった。 ありはするが、そこは一応、この場にて最高の指揮権限を持つ男。クロノ。 はやての言葉に、彼は軽く眉をひそめる。 「……戦闘中に、余計な口をはさむな。それと、僕はフェイト以外の兄になった覚えはないぞ?」 「まーまー、そー固くならんと。それにあれや、なんやかんやでクロノくん、私たちのお兄ちゃんみたいなもんやないか」 《それに、エイミィさんはマイスター達のお姉ちゃんだって、ご自分で言ってたです! エイミィさんがお姉ちゃんなら、その旦那さんのクロノ提督は、お兄ちゃんなのです!》 「おおリイン、自分頭いいやん! ご褒美になでてあげるわ……私の頭を」 《むぉお、不思議です! 絵面的にはマイスターがマイスターをなでるというなんともアレな感じなのに、確実に今、リインはなでられてるですぅ! ……感じる! マイスターの鼓動を!》 「ユニゾンって、不思議やな!」 《です!》 「……君達は、こんな時ですら、真面目になれないのか……?」 途中から勝手に漫才を始める主従を、完全に呆れの視線で見つめるクロノ。 おかしいな、十年前はもっと素直ないい娘だったはずなのに……と、その目に若干遠いものが混じる。 そんなメランコリック入りかけたクロノに、はやてとリインは、無邪気に笑いかけた。 「大丈夫やって。ユーノくん、言うとったやろ? 『あの怪物は、絶対に倒せる』って。じゃあ、大丈夫や」 《リインの知る限り、ユーノさんの提示したデータ以上に信頼できるものはないです! だから私たちは、変な片意地張ったりせず、自然体でやればいいです!》 「……ま、確かにちょっちふざけ過ぎやけど。提督閣下の気は、晴れたやろ?」 言われて、クロノは気がつく。 自分が、自分で思っていた以上に、緊張していたことを。 それは、これが久しぶりの前線だったからか、それとも敵が強大だったからか。 妹分達の行く末が、心配だったからなのか。 本来なら前線の自分達が食い止めねばならないところを、食い止められなかったことに対する、後方の親友への罪悪感か。 理由は色々思いあたるが、今現在重要なのは、自分が緊張していたということ。 そして、その緊張を、妹分の一人がぬぐい去ってくれたということ。 「……感謝するよ、はやて。これではユーノに笑われてしまうな」 「えぇよえぇよ。……で、結局、クロノ提督はどう考えとるん?」 《ユーノさんは、どうしたらいいんでしょうか?》 「……ふん。そんなこと、決まっている」 右手に魔力を収束させつつ、ちらと横目に後方の親友を見て。 クロノは、口の端を上げる。 「あいつが……ユーノが、最良の選択を行わないはずがない。だから、あいつが、あいつの意志で決めた結果が最良だ。それだけだよ」
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594 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 18:42:14 ID:wiBaBWon0 - ◆
そして、戦場の最後方。 五人の屈強な仲間達に守られたそこに、ユーノは静かに佇んでいた。 彼の周囲にいくつも現れては消え、また現れては消える無数の魔法陣と空間モニタは、彼がかなり複雑な術式を展開していることを示す。 《──司書長権限により、無限書庫自己防衛システム、最終ロック解除。許可。警戒レベルをSからAへ、外部との隔壁完全閉鎖》 ふと、彼は思う。 自分は今、彼らと同じところにいる。もっとも、皆に守られる、お姫様のような立場ではあるのだけども。 最後にここにいたのは、一体、いつのことだったろうか。 《攻性プログラムを手動操作で起動。許可。大型対象用兵装『ドラゴンストライク』を準備開始。完了まで残り5分》 無限書庫には、貴重な書物が大量にある。 それらを守るため、無限書庫には、内部兵装が施されていた。 それは、無限書庫を要塞としないよう、あくまで内に向けてのみ作られた武器。 ただの武器としてみれば、それはただの欠陥兵装。ただの産廃。 だがしかし、こと無限書庫を守るということについて言えば、それは恐ろしい効力を発揮する。 《……2、1、0。準備完了。照準合わせ完了。最終安全装置、解除。攻撃命令を出して下さい》 「皆、離れて!」 その一言で、怪物へと向かっていた面々が、バッとソレから距離を取った。 無限書庫の、ほぼ中心で、怪物は独り取り残される。 その瞬間、ユーノは、攻撃命令を下した。 「撃って!」 《『ドラゴンストライク』、射出します》 刹那。 無限書庫の四方八方から、黄金色の光条が、幾本も放たれる。 それらは全て、正確に怪物を捉え、突き通し、穴を開けた。 「─────────────────────────────────ッ!」
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595 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 18:43:32 ID:wiBaBWon0 - 絶叫すらあげることもできず、怪物は、力を失う。
先刻まで傷一つ付けられなかった化け物が、ただの一撃で地に沈む。 その猛威に、歴戦の戦士達は、揃って言葉を失った。 そんな中、ユーノの静かな声が、やけに響く。 「……ライオンは、空を飛べない。クジラは、丘に上がれば潰れてしまう。鷹は、水に入れば溺れてしまう。どんな場所にも王様はいて、だけど、万物の王者はいない」 完全に沈黙した怪物に、ユーノは、勝利を確信していた。 否、この状況で、ユーノの……ユーノ達の勝利を疑うものなど、一人もいなかっただろう。 暴虐の限りを尽くした怪物は、今、完全に力を失い、無重力空間に浮いているのだから。 「つまり、だね。……ここ(無限書庫)では、僕が王様だ。司書が書庫で負けるはず、ないだろう?」 ユーノが静かに告げると共に、世界に色がもどって来る。 ふってわいたような勝利が、ようやく、現実のモノとなる。 強大な敵を倒した喜びが、皆の心を満たしていった。 あるものは、疲れた表情で天を仰ぎ。 あるものは、ユーノに向かって突進し。 あるものは、それを阻止しようと血相を変え。 あるものは、それらにやんやと野次を飛ばし。 だから、誰も気付かなかった。 沈黙したはずの怪物の指が、ピクリ、と動いたことに。 油断、していた。 「──ゴオォオオオォォォオオォオンッッッ!」 「……へ?」 ……だから。 ユーノ・スクライアは、無防備に、怪物の右ストレートを貰い。 墜ちた。
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596 :WHITE/BLACK REFLECTION[sage]:2011/01/04(火) 18:46:50 ID:wiBaBWon0 - 以上です。……ああ、やっぱりサルになったか……。
>>593様、支援ありがとうございます。 まあ今回は、「ここでは、俺が王様だ」と司書長に言わせたかっただけです。 ぶっちゃければ、この回のために恋愛にバトルパートを入れました。 だって、カッコいいから。 と、いうわけで、また次回。
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598 :オヤジ3[sage]:2011/01/04(火) 19:09:12 ID:wiBaBWon0 - >>597
……え、それ、マジですか? うわぁ……真面目に一時間経ったらリセットかと思って、そのまま待ってましたよ……。
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604 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/01/04(火) 20:59:39 ID:wiBaBWon0 - ご苦労様です。
自分はパソコン苦手なんであれですけども、がんばってください。
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616 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/01/04(火) 22:52:54 ID:wiBaBWon0 - >>609
厨二はいいですよね、こう、熱き血潮ってか。 マンキンはいい作品だった……最終回以外は。 そんな厨二好きから言わせてもらえば、鬱ってのはバネなんだよなぁ。 後にハッピーエンドが来ると分かっているから、どれだけの鬱でも耐えられる。 逆に言うと、それが待ってない鬱は、苦手だな……個人的には。 “せめて物語の中でくらい、幸せでもいいじゃない”が標語なんで。 ……と、いうわけで、>>609さんにはなのユーを所望(どういうわけだ)。
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623 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/01/04(火) 23:44:40 ID:wiBaBWon0 - >>622
そんなあんたが大好きだ(笑)
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