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名無しさん@お腹いっぱい。
【けいおん!】唯×梓 14

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【けいおん!】唯×梓 14
433 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:47:53 ID:PAZyEhhd0
SS投下します。
タイトルは『お泊まりの魔力』です。
注意:シリアス、あずにゃん暴走

次レスより投下開始します。
【けいおん!】唯×梓 14
434 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:49:18 ID:PAZyEhhd0
「あずにゃん、今日うちに泊まらない?」

藪から棒に唯先輩にそう言われたのは、夜ご飯を食べた後の午後八時過ぎ。
一日遅れの誕生日お祝いという名目で平沢家に招待された私は、
唯先輩からプレゼントを貰ったり憂の手料理をご馳走になったりと温かな歓迎を受けていた。
昨日も放課後に部室で先輩たちが誕生日パーティを開いてはくれたものの、
夜は両親と家で過ごすことになっていたため一日遅れの今日、この晩餐に招待されたというわけだ。

アイデアを持ち出したのは他でもない唯先輩。
二日間お祝いしようと提案してくれたのは嬉しかったけど、
実際に絢爛豪華な料理を振る舞ってくれたのはもちろん憂だった。
唯先輩はといえば、私と一緒になって美味しそうに海老の天ぷらを頬張る始末である……一体どっちが主役なのやら。
それでも本当に幸せそうな表情で食べ物を口に運ぶその姿は、まるで見ている者も幸せな気持ちにさせてしまう子供のようで……
ちょっぴり可愛いと思ってしまったのは内緒だ。

誕生日ケーキには、これまた憂特製のバナナタルト。
タルトの頂上にたい焼きが不格好に乗っていた姿には、思わず吹き出してしまった。
ホワイトチョコレートの代わりなのか、たい焼きには「HAPPY BARTHDAY!あずにゃん」の文字が
チョコレートシロップで少しいびつに刻まれていて。
綴りが間違っているところを見ると、たい焼きだけは唯先輩が手伝ったんだなと容易に想像がついた。
その光景を頭に浮かべてまた苦笑いしてしまったけど……あえてダメ出しはしないでおいた。
バナナタルトはチョコレートも相まって少し甘かったものの、味は最高に美味しかった。

そして食事が終わると唯先輩は、お泊まりの提案を私に持ちかけてきた……というわけである。

「明日休みだからいいじゃんー」
「急すぎますよ。着替えとかどうするんですか」

私は夜ご飯を食べたら帰るつもりだったので、当然泊まる準備などしていない。
丁重にお断りしようとしたのだけど。

「私の使っていいよ?」
「え、遠慮しておきます!憂にも迷惑かけちゃいますし、今日のところは……」
「憂の許可だってもらってるもん。私あずにゃんとお泊まりしたいよぉ」
「ひっつかないで下さいよ」
「お願い……あずにゃん」
「うっ……」

潤む瞳は、まばゆい真珠。
上目遣いな表情は……さながら天使を思わせた。
結局私は縋るような唯先輩のお誘いを断り切れず、平沢家にお泊まりすることとなった。



【けいおん!】唯×梓 14
435 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:50:28 ID:PAZyEhhd0
それからのお泊まり会は波乱万丈の連続である。
私の宿泊が決定してテンションがハイになった唯先輩は、まずお風呂に一緒に入りたいとせがんできた。

「あずにゃーん!一緒にお風呂入ろうよ!」
「ええっ!そ……それは絶対にダメです!」
「どうして?」
「高校生にもなって一緒にお風呂だなんておかしいですよ」
「でも、合宿のときは一緒だったじゃん」

確かに合宿で一緒にお風呂に入ったことはあった。
でもあの時は他の先輩たちもいたし、浴槽も十分に大きかったわけで。
大浴場と家風呂ではまるで状況が違ってくる。
二人っきりで狭い湯舟に身を寄せ合って入るなど、想像しただけでも顔から火が出そうだった。
仮に私たちが小学生なら二人で入っても違和感ないだろうけど、この年にもなると否が応でも相手の裸を意識してしまう。
同性同士なら問題ないじゃん、と思うかもしれない。

問題大アリなのだ。
だって相手は唯先輩だから。

私が唯先輩に抱いている感情は……異性に向けるそれと全く同じだから。

私は唯先輩が好きだった。
笑顔の絶えない明るさも、慈愛に満ちた優しさも。
温かくて柔和な体温も、時々見せる凛々しい眼差しも。
きっかけは分からないけど……気付いたら彼女の姿を目で追うようになっていた。
友達として好きとか先輩として好きとか、そんなんじゃない。
手を繋いでデートしたり、キスしたり、エッチなこともしたり……恋人としての時間を一緒に過ごしたい。
そういう好きの気持ちを私は唯先輩に向けている。

いざお風呂で二人きりという状態になったら、何をしてしまうか分からないのだ。
実際に唯先輩の裸を目の前にしたとき、昂ぶった感情を制御できる自信がない。

私は入浴だけは別々にするよう必死で唯先輩を説得した。
「ちぇ……」と言いながらも、唯先輩は渋々と承諾してくれることに。

【けいおん!】唯×梓 14
436 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:52:05 ID:PAZyEhhd0
しかし。
そこで終わらないのが唯先輩。

「じゃあ、お布団では絶対に一緒だからね!」

せっかくのお泊まりなんだから、なんて都合の良い理由で。
同じベッドで寝るというシチュエーションも相手を意識させてしまいそうだけど……
お風呂と違って直接肌が触れるわけじゃないから大丈夫だろう。
少々曖昧な理屈だったけど、私は一緒のベッドで寝ることを約束した。

唯先輩がお風呂に入っている間、私は着替えや歯ブラシなどを取りに帰ることに。
人の家のお風呂に入るために帰宅するというのも変な話だけど……
往復で三十分もかからないからさほど問題はなかった。

お風呂から上がれば今度はゲームタイム。ジャンルはいわゆる乱闘ゲームだ。
勝敗が決まる度に唯先輩は一喜一憂するものだから、調子を合わせるのが大変だった。
元々ゲームはあまり好きでないという、私の性格もあるんだけど。
途中でお風呂から上がった憂も交えて三人でゲームを楽しんだ後は、テレビを見ながらしばらく談笑していた。

お泊まりともなると高揚感が相まうからか、
唯先輩は普段話さないような過去や将来の展望なんかも話してくれた。
私も唯先輩や憂より口数は少なかったけど、
放課後ティータイムでの出来事やクラスの行事を振り返りながら同じように高揚感に身を投じていた。

十一時半くらいになって唯先輩が眠くなってきたと言ったので、日が変わる前に私たちは寝ることにした。
テレビを消して。歯磨きをして。唯先輩の部屋に移動して。

現在、十一時四十分。

お泊まりという名の非日常に秘められた魔力が真価を発揮するのはここからであった──



【けいおん!】唯×梓 14
437 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:54:08 ID:PAZyEhhd0
「ふふっ、あずにゃんと一緒に寝れるなんて嬉しいよぉ」
「どんだけ楽しみにしていたんですか」
「これは私が常日頃から描いてきた夢だからね!ふんすっ」
「大袈裟な夢ですね……電気消しますよ」
「あ、真っ暗じゃないとダメだよ。せっかくのお泊りなんだから」
「はいはい」

スイッチを二回押して小電球まで完全に消すと、月明かりがブラインドから細々と差し込む以外は何も見えなくなった。
足元に気を付けながら唯先輩の待つベッドへと辿り着く。
ベッドに体を滑り込ませるやいなや、案の定唯先輩は両手を拡げながら抱きついてきた。

「ようこそあずにゃん!ぎゅー」
「にゃあっ……もう、今日だけの特別ですからね」
「そんなー今日だけと言わずにぃ」
「調子に乗らないで下さい。大体私の誕生日のはずなのに、何で唯先輩の言うこと聞かなくちゃいけないんですか」
「じゃあ、今から十二時までならあずにゃんの言うこと何でも聞くよ」
「十二時って……あと五分しかないじゃないですか!」
「えへへ、どうする?」

唯先輩は意地悪くそう言ってみせる。
お願いしたいことならあるにはあるんだけど……私の恋人になって下さいなんて口が裂けても言えない。

「どうするのあずにゃーん。ほれほれっ」
「やあっ!ちょ、唯せんぱ……あははっ!やめっ、くすぐらないで……あはははっ!」
「早く決めないと十二時になっちゃうよ?」
「……はあっ……もう、お返しです!」
「きゃあっ!あずにゃ……あはははっ!ダメッ、私くすぐり弱いの……あはははっ!」
「これで懲りましたか?」
「参った!参ったよ!……コホッ……あずにゃん脇の下なんて卑怯だよぉ」
「仕掛けてきたのは唯先輩でしょ」
「そうだけどさぁ……あ、そうだよ!お願いどうするのあずにゃん」
「急にお願いなんて言われても……思いつかないですよ」
「ええー何でもいいんだよ。たとえば……ちゅーして欲しい、とかさ」
「なな何言ってるんですか!別にちゅーして欲しいとか思いませんし!」

【けいおん!】唯×梓 14
438 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:55:17 ID:PAZyEhhd0
嘘だ。本当はして欲しくてたまらない。
今のノリに乗じてお願いしてしまえば良かったのに。
素直になれない私の性格は、いつもこうやって恋路の邪魔をする。

「あずにゃんのいけずー」
「いけずで結構です」
「あーあ、十二時になっちゃったよ」
「お願いはもういいですから」
「惜しいことをしたねぇ、あずにゃん」
「惜しくなんてないです」
「ほんとに?」
「ほんとです」
「ほんとのほんとに?」
「ほんとのほんとです」
「本当は?」
「ないです」
「ちぇー……いいもん、あずにゃん抱き枕にしちゃうもん!」
「にゃあっ!」

唯先輩は向かい合っていた私を全身で抱きしめると、すかさず頬ずり攻撃を始めた。
頭の先から双球の膨らみ、つま先までもが密着して私の心臓の鼓動は格段に早さを増す。

「あずにゃんあったかいよぉ。あずにゃーん……」
「や、やめて下さい唯先輩……そんなにくっ付かれたら、私……」
「……すー……」
「……え?」

……まさか。
この短時間のうちに寝てしまったというのか。
いくら何でも早すぎる。寝たフリをしてまだ起きてるんじゃなかろうか。

「唯先輩、唯先輩……」
「すー……」

名前を呼び掛けても安らかな鼻息の音が返ってくるだけで、唯先輩は目を覚まさなかった。
まあさっきまで眠そうにしていたし……一日中はしゃいで疲れたのだろう。
両腕は私を抱きしめたままだったけど、少し力が弱くなっていることからも寝てしまったんだと分かった。



【けいおん!】唯×梓 14
439 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:56:50 ID:PAZyEhhd0
唯先輩に翻弄されっぱなしだった私は、ここにきてようやく一息をついた。

「ふうっ……」

ついの今まではしゃいでいた唯先輩を見つめる。
起きている時はあんなに騒がしかったのに、寝顔はおとなしくてすごく可愛い。
これも一種のギャップ萌えなのだろうか。
なんてことを考えながら、私の視線はある一点に集中していた。

……唇だ。

好きな人の寝顔を至近距離で見てこうならない方がおかしい。
ましてや当人に抱きしめられた状態で、だ。
月明かりの拡散した光でぼんやりと照らされた隙間からは、魅惑の吐息が漏れている。

「ゆ、唯せんぱ……い……」

小声で名前を呼び、もう一度寝ていることを確認する。
返事はなかった。

ごくり、と唾を飲む。
柔らかくて弾力がありそうな、瑞々しい唇だった。
その光景に吸い寄せられるかのように、私の頭は少しずつ傾いていく。
距離は五センチもなかった。一気に詰めようと思えば詰められる距離だ。

「ハァ、ハァ……」

私の唇は震えていた。
これから私のしようとしていること。
背徳的な行為に身を委ねようとする自分。
そんな今の状態を意識して、緊張と震えを感じないはずがない。

【けいおん!】唯×梓 14
440 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:58:06 ID:PAZyEhhd0
四センチ、三センチ……

距離は確実に縮まっていく。
私の脳内はどうしようもないくらい、唯先輩に対する欲求でいっぱいだった。
どこか冷静な部分で今しようとしている行為の意味について模索していたが、この行為が及ぼす結果までを予想するには至らなかった。

二センチ、一センチ……

唇が触れるか触れ合わないかのギリギリな位置で、私は動きをピタリと止めた。
つぶっていた目を少し開けると、視界は唯先輩の顔で埋め尽くされている。
睫毛がすごくきれいだ。滑らかできめ細やかな肌も美しい。

「すー……ひゅぅ……」

唯先輩の吐息が私の口内に入ってくる。
さっき歯磨きをしたはずなのに、なぜかとても甘い匂いがする気がした。
一方で私の吐息は、必然的に唯先輩の口の中へと逆流していく。
入り口で口笛のような共鳴現象を起こしているからだろうか。
私の息がその隙間に入っていく度に、ひゅうという音が聞こえてくる。
時々同じタイミングで吐いた息が絡み合う。

ドクン、ドクン……

緊張で心臓がバクバクとうるさい。
その音に理性を少し取り戻されるも……欲求がすぐに私の中で打ち勝った。

(唯先輩……大好き……)

心の中でそう呟くと、再び目を閉じる。
私は最後の距離をゆっくりと詰めていき、その感触がやってくるのを待った。



【けいおん!】唯×梓 14
441 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 22:59:15 ID:PAZyEhhd0
──柔らかな感触が伝わった。



ぷっくりと膨らんだその感触は、想像していたよりも遥かに弾力があった。
垂直な向きで唇を重ねた私は今、間違いなく唯先輩とキスをしている。

これが……夢にまで見た唯先輩とのキス。

なんて温かいんだろう……
なんて柔らかいんだろう……
なんて気持ち良いんだろう……

ああ、ゆいせんぱい……ゆいせんぱい……

私は堪能するようにしてもう少し唇を押し付けた。
その分柔らかな感触が、確かに私の唇に跳ね返ってくる。

「んっ……ふむっ……」

無意識のうちに声が漏れ始める。
もはや私の頭の中から理性や道徳心といった言葉は消えていた。
無抵抗に寝ている人の唇を奪っているというこの状況も……ただ私の欲望を助長するだけに過ぎなかった。

(ゆいせんぱい……ゆいせんぱい……)

体が熱い。
服も下着も脱ぎ捨ててしまいたかった。
下半身のあたりがムズムズして、思わず太ももを擦り合わせる。

興奮が十分に高まった私は、迷うこと無く次のステップへ移ろうとした。
赤い突起物を差し入れるため口を少し開こうとした、その時だった──

【けいおん!】唯×梓 14
442 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/11/17(水) 23:00:58 ID:PAZyEhhd0
(!?)

何かが私の口内に侵入してきた。

反射的に私は顔を離そうとするが、背後から違う何かに後頭部を押さえつけられてしまう。
それらが唯先輩の舌と手であることに気付くのにそう時間はかからなかった。

引っ込めた舌に唯先輩の舌が激しく絡みついてくる。

「んあっ……んちゅ、ちゅるっ……」
「ちゅう……ぴちゅ……れろっ……」

初めての感触に恍惚とする意識の中で、私はようやく理性を振り絞った。

(唯先輩……寝惚けてるの……?)

その表情を確かめるために薄目を開けようとした私は、次の瞬間大きく瞳を見開いた。

(!!)

……唯先輩も薄目を開けていた。
その表情は私と同じように恍惚としていて、ただ本能に忠実にキスを堪能しているかのようだった。

いつから起きてたの?
眠り姫のように私のキスで目覚めてしまったとか?
それとも……最初から寝たふりを?
ダメ……気持ち良すぎて何も考えられない……

唯先輩に気付かれたという焦りよりも。
いつから起きていたのかという疑問よりも。
今この瞬間、唯先輩に侵入されているという未曾有の快感の方が私を上回っていた。

「はむっ、ちゅう……ちろっ」
「んん……ちゅるっ、ぴちゅ……」

徐々に破壊されていく私の思考回路。
もうどうなってもいいや。今こうして唯先輩と繋がっていられるのなら。

快楽と欲求が渦巻く中、私は一線を越えるべくその膨らみに手を伸ばした。





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