- 21世紀深夜アニメロワアイル 2
54 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:43:16 ID:kV3QmSGC - とうかします
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55 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:44:11 ID:kV3QmSGC - 男は、途方に暮れていた。
戦闘のマニア。 いや、プロとして、ありとあらゆる兵装に通じる知識を持ってしても、目前のソレがなんなのか、まったく判別がつかない。 ソレの色彩や形状は、とある一つの兵器を連想させる物なのだが―― 男は、そんなはずがないと首を振るう。 使い方……というか、何をどうすればいいのかは明白だ。 明らかに体の一部に装着して使うように、その兵装は作られている。 だから、何に使う物なのかは、使ってみれば判るはずだ。 だが、そう思いはしても、それを実行に移すには多少の難がある。 これを『付ける』なら、必然的に今付けている物を『外す』必要があった。 別に外した所で困る物ではなかったが、常識で考えればそれを外す人間などいない。 「まぁいい。男は度胸! 何でも試してみるもんさ!!」 しかし、時として常識から解き放たれた人間も存在する。 この男も、その手の種類の人間だったのかも知れない。 支給された兵装を前に、男は――。 ---- 濃紺の空を往く。 魔女の魔力を増幅してくれるストライカーの助けを借りず、モップで飛ぶ空の高度は100メートルほどだ。 それでもこの広大な空は、一人では寂しくなるほどに広かった。 (サーニャ、サーニャ、サーニャ……) エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉の頭の中は、僚機であるサーニャの事で一杯だった。 如何に未来予知の魔法が使えるとはいえ、占いに使うカードもない今、彼女に出来るのは虱潰しに地上を探す事だけだ。 いつも隣を飛ぶ少女の不在。 それがエイラの焦燥を駆り立てる。 サーニャは、心の優しい少女だ。 人間同士で殺し合うなんて、絶対出来ない。 だから早く見つけてやらなければいけないのに、何時間も経過した今も彼女を見つける事が出来ずにいる。 「チクショー。どこにいるんだよ、サーニャーッ!」 今も不安に怯えて、自分の名前を呼んでいるのではないか。 そう思うと、エイラは堪らなかった。 見つける事さえ出来れば、絶対守ってやれるだけの力が自分にはある。 けれど、もしもこのまま見つける事が出来なければ……。 最悪の想像をしてしまい、ぎゅっと胸のあたりを手で握る。 気が狂いそうなほどの不安と焦燥。 自身の死よりも、彼女がいなくなる事の方が何倍も、何倍も恐ろしかった。 何度も彼女の名前を叫び、からからになった喉で、それでもエイラはサーニャの名を呼ぶ。 「ン? あれは……」 その時だった。 エイラが空から見下ろす地上の端に、炎の瞬きが見えた。 戦いで発生した火災にしては、規模が小さいが……火があるということは、そこに人がいるという事だ。 エイラは何キロメートル先かの、その地点までモップを走らせると、ゆっくりと降下していく。 高度30メートルほどまで降下すると、炎で照らされたその場の様子がはっきり見てとれた。 焚火だ。 焚火を囲んで、休んでいる少年と少女がいた。 それは、サーニャではなかったが――
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56 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:45:04 ID:kV3QmSGC -
「ルッキーニ!」 エイラと同じストライクウィッチーズに所属する魔女。フランチェスカ・ルッキーニ少尉だった。 「あ、エイラだー。オーイ!」 砂浜に寝転んでいたルッキーニは、エイラに気が付くと跳ねるように飛び起きて、満面の笑みで両手を振る。 同行する少年に見覚えはないが、恐らくはこの地で知り合ったのだろう。 こちらもまた立ち上がると、空に浮かぶエイラをぽかんと見上げている。 「ルッキーニ、サーニャを見てなイカ!?」 しかし、そんな少年の事など歯牙にもかけず、エイラは開口一番、サーニャの事を尋ねる。 「んーん、見てないよー。それより降りてきなよー。あたし、すっごいごちそう見つけちゃったんだー。ニヒヒ。食べよ食べよ?」 エイラが来るって判ってたら、塩漬けにしないで取っておいてあげたんだけどなーなどと呟きながら、ルッキーニはタッパーの 蓋を開けようとしている。 その無邪気さは、いつも基地で遊んでいる時と何も変わる様子はない。 その無邪気さに――エイラは、強い苛立ちを覚えた。 オマエ、コノ事態ガ、ワカッテネーンジャネーノ? と。 (ワタシハ、モウ、ヒトリコロシタンダゾ) そう、サーニャを守るために。 エイラは既に殺人を犯している。 それなのに、こいつは仲間を探しもせずに、いつものように遊んでいたのだ。 冷静に考えれば、ここはサーニャを見つけたら保護してくれるよう頼んで別れるのが上策なのだろう。 しかし、ルッキーニは天性のトラブルメーカーだ。 放っておいたら、何を仕出かすか判らない所がある。 だから――エイラは、右手に持ったアサルトライフルの銃口を、音もなく下へと向けた。 二人ともエイラが降りてくる事を信じて疑わないのか、もてなしの準備をしており、エイラの挙動には気付いていない。 「ワタシは……サーニャを守りたいんダ」 引き金を絞る意思は、揺るぎのない殺意。 エイラの未来予知の感覚は、既にルッキーニたちの絶対の死を告げている。 しかし、その殺意は永澄少年の頭に立った、一本のアホ毛アンテナに察知されていた。 「危なーい! ルッキーニちゃんっ!!」 「にょわっ!?」 危険察知アビリティ発動。 永澄はルッキーニの褐色の身体に飛びつくように抱きついて、そのまま砂浜へとダイブする。 一瞬遅れて、ルッキーニが居た場所を穿つのはエイラが打ち込んだ一発の弾丸だった。 「バ、バカな。ワタシの予知がハズレたダト!?」 「エ、エイラッ!?」 「何やってんだよ、オマエ。なんで仲間を撃とうとしたんだよっ!?」 驚きの声は三者三様だった。 絶対の自信を持って放った攻撃を、魔女でもないただの男に察知されたエイラは急いでモップの高度を上げる。 得体の知れない相手を前に、アドバンテージを保ちたかったのか、その意識は自分でもよく判らない。 が、下を見ればルッキーニが箒にまたがり、今まさに離陸しようとしていた。
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57 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:45:51 ID:kV3QmSGC - 「敵が直上にいるのに、離陸しようだなんて……狙い撃ちにしてくれって言ってるようなもんダゾ!」
ツインテールの少女の足元に、魔力に輝く魔法陣が広がり、重力の戒めから魔女を解き放とうとしている。 だが、浮上に必要な揚力が得られるまでの離陸の際は、敵の攻撃を避ける事も出来ない為、味方の援護を貰うか、敵の攻撃の届かない場所で行うのが原則だ。 ちらりと横目に見た先ほどの少年は、銃器も持っておらず援護射撃をしようとする気配はない。 「その可愛い顔を吹っ飛ばしてヤル!」 今度こそはと狙うスコープに映るルッキーニの表情は、既に戦場の空気を纏っていた。 (そうだ、最初からそうしていれば良かったんダヨ!) ルッキーニの足が地上を離れる。 もはや浮上した体は前進あるのみ。 その隙だらけの瞬間を狙い、エイラのステアーAUGが連続した火花を散らす。 スコープの先には、柘榴のように弾けたルッキーニの頭部が―― 「ナニィッ!?」 なかった。 ルッキーニは、彼女の固有魔法である光熱エネルギーを身に纏う事で、突撃銃が撒き散らした弾丸を蒸発させたのだ。 それを見て、エイラは自分の考え違いに舌を打つ。 幼いとはいえ、彼女もまたエース集団、ストライクウィッチーズの一員なのだ。 決して侮っていい相手ではない。 「チョンワー!」 「当たるカ、そんなン!」 光熱魔法を纏ったまま、急速上昇をかけてきたルッキーニの体当たりをかわす。 エイラは主翼に見立てた足を大きく広げ、風を受けながらロールして旋回に入る。 前方からでは、魔法を展開したルッキーニに攻撃は通らないだろう。 故に、後方を取る必要があった。 ここからは、互いの航空技術の比べ合いだ。 「エイラッ! なんでェ!?」 「ウルサイッ! 問答無用ダ、ルッキーニ!」 エイラと同様に旋回してきたルッキーニと、再び激突する。 互いの尻に噛みつかんばかりの勢いで、二人の航路が絡み合う。 大空はまさにウィッチたちの戦場。 ドッグファイトの邪魔するものは誰もいない。 「とにかく、一旦降りてよ!」 「ダガ、断ル!」 エイラと背後を取り合うように飛ぶルッキーニの手にも、ハンドガンがあった。 高速戦闘を行うストライカーでの戦闘では、サブウェポンくらいにしかならない武器だが、箒同士なら充分な武器だ。 仮に撃ってきたとしても、未来予知の魔法を持つエイラには当たらない。 とはいえ、それでも姿勢を崩す事は出来るのだから牽制でも撃つべきだ。 それくらい判っているはずなのに――ルッキーニは撃たなかった。 「甘いゾ、ルッキーニ!」 「!?」 すれ違いざまの牽制に、一発弾丸を撃ちこむ。 一撃程度ならネウロイの光学兵器をもかわせるほどの反射神経を持つウィッチには、その程度の攻撃は通じないが、それはエイラと ルッキーニの覚悟の差を如実に示す一撃だった。 今更ではあるが、共に空を飛ぶ列機に対して実弾を撃ったのだ。 軍法会議を省略して、現地で処分されても文句は言えない。
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58 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:46:32 ID:kV3QmSGC - 避ける為の挙動を取るルッキーニの動きを、未来予測で読み切ったエイラは、ここぞとばかりに大技を仕掛ける。
交差した相手の背後を取る、インメルマンターンだ。 宙返りした頂点でのロールを見事に決め、エイラはルッキーニの背後を取る。 スコープの中心線に、ルッキーニの姿が大写しになった。 「終わりダ、ルッキーニ!」 トリガーを引こうとした瞬間、エイラはトンデモナイ光景を幻視した。 常にエイラの危機を救ってきた未来予知。 しかし、今度ばかりはそれを疑わざるを得なかった。 「バカな……高度50ダゾ!?」 ウィッチ以外は介入出来ないはずの、空の世界。 その世界に、割り込みをかけてきた人間がいたのだ。 「もう……やめろぉぉーーーっ!!」 満潮永澄。 さきほど、エイラの未来予知によって行われた射撃を避けた少年。 その少年が、地上からジャンプして、エイラの前に現れた。 「う、わあああああああ!!」 冗談としか思えない光景を前に、思わずエイラは残弾全てを撃ち尽くす。 しかしアサルトライフルから撃ち出された暴力の塊は、永澄の肉体に届く前に、その溢れだすオーラに触れただけで消滅する。 本来、瀬戸燦の歌うにんぎょエンシェントリリック『英雄の詩』を聞いた時に発現する効果が、なぜか今の永澄には宿っていた。 「仲間同士で殺し合いなんての殺し合いを見逃したとあっちゃあ……そりゃあ侠の名折れだからっ!」 超人化した永澄が、拳を打ち出す。 反射的に、抜き放ったナイフでエイラはその一撃を受け止めた。 硬度に勝るはずの、鋼鉄が歪む。 ナイフは、その一撃で使い物にならなくなっていた。 「くっ、化け物カッ!?」 そして、その一撃で弾き飛ばされ、運動エネルギーをも失ったエイラが一時的な失速を見せる。 跳躍を見せただけの少年は既に重力に従い、地上へと降りていたが追撃も有りうる。 ここは撤退すべきかと考えた時、エイラは二度、信じられない光景を見た。 「ルッキーニ! 避けろぉーーーー!!」 「はにゃ!?」 上空から、重機関銃による一斉射撃の雨が降る。 エイラの絶叫に反応したルッキーニは、間一髪その攻撃を避けた。 箒で飛ぶウィッチたちを上回る、高高度からの一撃はまさにストライカーによるものだった。 問題は――その一射が、ウィッチの手に寄る物ではなかった事だ。 「ふざ……けるナァー!!」 悉く自分の常識を犯す出来事に、思わずエイラは激昂する。 そう、自分達より更なる上座を占める、本来の魔女たちの領域。 その高高度の世界にいたのは、魔女ではなく、パンツ一丁の男だったのだから。 【一日目 G-2 上空 黎明】
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59 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:47:35 ID:kV3QmSGC - 【エイラ・イルマタル・ユーティライネン@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康 疲労(小) [装備]:モップ@現実、アサルトライフルステアーAUG(0/30)@現実、折れ曲がったコンバットナイフ@現実 [道具]:基本支給品×1、ステアーAUGの予備弾倉×3、未確認支給品0〜2 [思考] 基本:サーニャのために他の参加者を皆殺しにする 1:サーニャと合流する 2:上空の脅威に対処 【満潮永澄@瀬戸の花嫁】 [状態]:絶好調! 満腹 超人化 [装備]: [道具]:基本支給品、未確認支給品0〜3、商店街で手に入れた食料品、謎の魚肉の塩漬け [思考] 基本:燦ちゃんや留奈ちゃん、巡たちを探す 1:あれ、俺どうなってんだ? 2:待っててくれ、燦ちゃん! 【フランチェスカ・ルッキーニ@ストライクウィッチーズ】 [状態]:絶好調! 満腹、疲労(小) [装備]:箒@現実、包丁@現実、FN Five-seveN(20/20)@GUNSLINGER GIRL [道具]:基本支給品、未確認支給品0〜2、Five-seveNの予備マガジン×4、商店街で手に入れた道具、謎の魚肉の塩漬け [思考] 基本:シャーリーや芳佳たちを探す 1:今の攻撃は!? 2:エイラどうしたの? ---- 「ガーハッハッハッハッハ!! こりゃあ最高だぜ!!」 坂東は、己に発現した新たなる力に夢中だった。 トランクスの裾を風になびかせ、高度3000の世界から、小便を放つようにMG151/20の20mm弾をバラまく。 一射毎に、建物が紙くずのように千切れて吹き飛ぶ威力に、坂東は酔い痴れた。 青白く光る力に、全身が覆われていた。 50kg以上の加重には耐えきれない筈の義手が、40kgもあるMG151/20を片手で持ち上げて、その反動を受け止めている。 この高度、この速度であれば、当然受けるはずの空気抵抗すらもほとんど存在しない。 まさに反則とも言える支給品の性能。 これなら、ルーシーを討つ事も容易いだろう。 かつて50口径の拳銃を決戦兵器にと考えていた、自身のプランがバカバカしくなるほどの破格の性能。 「ボケがぁ、こんなんがあるなら、最初っから出しやがれ!!」 坂東はもはや地上の芥どもの事など、眼中にはなかった。 頭にあるのは、この超級の破壊力を持って、ルーシーを駆逐する。 その一事である。 とりあえず、破壊の限りを尽くしていればリアクションが返ってくるだろう。 そんな大味の戦略を持って、板東は地上に災厄を撒き散らす災害と化していた。
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60 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:48:45 ID:kV3QmSGC -
【一日目 G-2 上空 黎明】 【板東@エルフェンリート】 [状態]:健康 [装備]:MG151/20二挺@ストライクウィッチーズ、Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズ [道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜1(確認済み) [思考] 基本:全員殺す。 1:人を合法的に撃てるなんて天国じゃねーか。 2:優勝したら、またここに連れてきて貰おう。 3:パンツだけど恥ずかしくないもん 以上です タイトルは―テイク・オフ― 板東関連の所は問題があるようなら削ってもよかとです
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61 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 01:51:16 ID:kV3QmSGC - あとwikiだとステアーAUGが(8/8)になっていたのですが前スレによると特に設定されていなかったので
勝手に30発の設定にしておきました 前作の作者さんが編集したのであれば、wikiの設定に従いますが
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62 : ◆x/rO98BbgY [sage]:2010/10/04(月) 02:15:37 ID:kV3QmSGC - ×「仲間同士で殺し合いなんての殺し合いを見逃したとあっちゃあ……そりゃあ侠の名折れだからっ!」
○「仲間同士での殺し合いを見逃したとあっちゃあ……そりゃあ侠の名折れだからっ!」
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