トップページ > 地下アイドル > 2012年04月29日 > hBDa7I2m0

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◆Q5rNtE.wug
光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」

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光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
1 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:50:29.60 ID:hBDa7I2m0
光宗「でも、チームBには最近みるきーさんが・・・」

秋元「あくまで、みゆきは期間限定だ。『彼女』が抜けた穴を誰かで埋めなければならない」

光宗「それで、私がチームBに・・・」

秋元「そうだ。これから、色々大変だろうが、チームBで頑張ってくれ」

光宗「はい! 分かりました」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
2 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:51:46.26 ID:hBDa7I2m0
光宗(チームBに昇格・・・!)

 光宗薫――AKB48、13期生研究生である。
 研究生という立場でありながら、「スーパールーキー」の看板を掲げて、既にテレビや雑誌に引っ張りだっこのメンバーの一人である。
 その端麗な容姿、モデル並のルックス、公演を重視せずにテレビ出演を最優先とする――今までになかった、AKBのニュースターと言っても過言ではないだろう。
光宗(とにかく、頑張らなくちゃ・・・!)


*※メンバーのイメージを著しく壊す可能性があります。恐ろしくキャラ崩壊が激しいと思いますのでご了承ください。
なお、この物語はフィクションです。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
4 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:52:50.25 ID:hBDa7I2m0
 〜チームB、楽屋〜

柏木「あなたが薫ちゃんね」

光宗「柏木さん、よろしくお願いします!」

柏木「うん、ゆきりんで良いよ・・・って言っても、いきなり無理か」

光宗「雑用でも何でも任せてください! これから正規メンバーということで、研究生では想像も出来ない厳しいレッスンや公演の日々かと思いますが、頑張りますのでよろしくお願いします!」

柏木「うん! よろしく! それにしても、やっぱり細いねー」

光宗「いえいえ・・・」

柏木「この細い体が、これからどう仕上がっていくのか・・・気の毒・・・」

光宗「えっ」

柏木「あっ! うんうん! 何でもない! とにかくもし悩みとかあったら、遠慮せずに言ってね! 何でも相談にのるから」

光宗「は、はい!」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
6 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:53:37.96 ID:hBDa7I2m0
光宗(良かった・・・柏木さんもとても優しい先輩みたいだ。私、これからどんな厳しいことにも、負けずに頑張っていこう)

渡辺「彼女が、次の犠牲者か・・・」

光宗「あっ、渡辺先輩! おはようございます!」

渡辺「あっ、おはよう! かかかかかカヲルくん、これから一緒のチームBだね! いいいいい一緒に頑張ろう!(何やともあれ、一番入ってきて欲しい研究生が来てくれた! やっびゃあ!)」

光宗「はい!」

佐藤亜「あっ、君が噂のスーパー研究生の光宗くんだね」

光宗「はい、亜美菜さんおはようございます!」

佐藤亜「・・・調子にのってんじゃねえよ」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
10 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:54:27.62 ID:hBDa7I2m0
光宗「えっ」

佐藤亜「うそうそ! 私なりの愛情だから!」

光宗「はあ・・・」

佐藤亜「とにかく、友好の証にこのケーキあげる!」

光宗「あっ、ありがとうございます! 嬉しいです」

佐藤亜「一杯あるから、どんどん食べてね!」

光宗「はい!」

光宗(凄いカロリー高そうなケーキだけど・・・折角、先輩からもらった好意だ。食べないわけにはいかない)

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
11 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:55:53.89 ID:hBDa7I2m0
 時間をかけて完食する光宗。

光宗「美味しかったです。ありがとうございました!」

佐藤亜「まだまだ一杯あるから、もう一個あげる!」

光宗「えっ、けど・・・」

佐藤亜「いいのいいの! それとも何!? 私のあげたケーキが食べられないっていうわけ?」

光宗「いえいえ、そういうわけじゃありません! いただきます!」

光宗(実はもう一個食べただけでお腹一杯なんだけどな・・・といっても、食べないわけにはいかない)

 これも時間をかけて完食する光宗。

光宗「ゲップ。ありがとうございました!」

佐藤亜「まだまだあるから、一杯食べて!」

光宗「え、でも・・・」

柏木「亜美菜」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
12 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:56:38.05 ID:hBDa7I2m0
 苦しそうにしている光宗を見かねてか、柏木が声をかける。

柏木「薫ちゃん、この前に昼ご飯一杯食べてお腹一杯みたい。だから、ね」

佐藤亜「チッ。あっ、ごめんねー。無理矢理食べさせちゃって」

光宗「いえいえ、美味しかったです! 本当にありがとございました!」

佐藤亜「今日はこれくらいにしといてやるか・・・」

光宗「えっ」

佐藤亜「うんうん、何でもない。よーし、今日もレッスン頑張ろう!」

 そう言い残して、何処かへ去っていく佐藤亜美菜。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
14 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:57:08.97 ID:hBDa7I2m0
光宗「・・・ありがとうございました、柏木さん。私、小食で実はお腹一杯でした」

柏木「うんうん、全然いいよ・・・これから、色々と辛いこともあるけど頑張ってね・・・」

光宗「はい・・・?」

柏木「いやいや、そんな深い意味はないから! じゃあ、レッスン頑張りましょう!」

光宗「はい!」
 
 こうして光宗の苦難の日々が幕を開けたのである。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
16 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 17:58:27.86 ID:hBDa7I2m0
 ■1にラーメン、2に焼き肉■

光宗「ふうー、疲れたー!」

 レッスンが終了して一息つく光宗。
 確かに激しいレッスンであったが、不思議と疲労感はない。

光宗(研究生の時とは違う・・・! みんな、ダンスも上手いし増田さんもメッチャ歌が上手い! 柏木さんもウィンクが上手い!)

光宗(勉強することが一杯ある。これから頑張っていかないと・・・)

宮崎「薫ちゃん」

光宗「はい?」

宮崎「これからご飯もかねて、薫ちゃんの歓迎パーティーをやろうと思ってるんだけど・・・。これから暇?」

光宗「ほ、本当ですか! もちろん暇です! 行かせていただきます!」

宮崎「そうなんだ! じゃあ、行こう!」

光宗「はい!」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
18 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:00:23.96 ID:hBDa7I2m0
 連行・・・連れていかれたのは、キムチ鍋やちゃんこ鍋など、色々な鍋を食べることが出来るお店だ。
 チームBのメンバーは殆どこの歓迎会に参加しているが、河西に関しては体調不良で途中で帰った。

柏木「それじゃあ、薫ちゃんがチームBにやって来てくれた、ということで・・・これからチームBのますますの繁栄を祈って、乾杯!」

 もちろん、皆のグラスにはウーロン茶やオレンジジュースが注がれている。

渡辺「かかかかカヲルくん。すすす凄い良かったよ! これからも頑張っていこう!」

光宗「はい!」

佐藤亜「薫」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
19 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:01:28.10 ID:hBDa7I2m0
 渡辺が何故か汗をかきながら光宗と話をしていると、佐藤亜美菜が光宗を手招きする。

佐藤亜「こっちこっち」

光宗「はい!」

 そうやって光宗は佐藤亜美菜のいる席に移動する。
 佐藤亜美菜の座っているところは4人席のようで、臨時でお誕生日席に椅子を持ってきている。
 光宗はそこに腰をかけた。

北原「君が光宗薫ちゃんか・・・」

 テーブルには既に佐藤亜美菜、北原里英、宮崎美穂、増田有華の4人が腰かけていた。

光宗(・・・凄い量の鍋だ)

 明かにそのテーブルには量が多いちゃんこ鍋が準備されていた。
 まるでお相撲さんが食べるような鍋、光宗はそう思っていた。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
20 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:02:15.02 ID:hBDa7I2m0
佐藤亜「まあまあ、落ち着いて落ち着いて・・・薫がチームBにやって来てくれた、ということで、今回は歓迎パーティーを開かせてもらったけど・・・レッスンはどうだった?」

光宗「凄い充実していました! みなさんダンスも歌も多いですし、まだまだ学ぶところは一杯あります! これからもよろしくお願いします!」

佐藤亜「あっ、そ」

北原「薫ちゃーん、とにかく食べなよ。お皿によそってあげたから」

光宗「はい、いただきます!」

光宗(凄い量だ・・・)

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
21 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:02:56.73 ID:hBDa7I2m0
 明かに小皿、というよりかは普通に料理が盛りつけられるような食器にお肉や野菜がてんこ盛りに盛りつけられていた。

光宗(といっても、食べないわけにもいかないし・・・)

光宗「美味しいです!」

増田「そう? メッチャ嬉しいわ! どんどん食べて胸も大きくなってな!」

光宗「はい・・・?」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
23 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:03:48.73 ID:hBDa7I2m0
 〜光宗から少し離れた席にて〜

石田「ゆきりん・・・」

柏木「うん。いよいよ始まったね。新四天王による、可愛がりが」

 心配そうな目で苦しそうにしている光宗を遠くから見る柏木。

柏木(薫ちゃんがチームBに来る、ということで分かっていたことだけど・・・チームBの正体がいつになったら分かるんだろう)

鈴木紫「いいんですか? 柏木さん。助けにいかなくて」

柏木「今、助けに行っても、短期的には助かるかもしれないけど、長期的には良くない。いっつもいっつも助けられる訳じゃないからね」

柏木「大変だけど、薫ちゃんにはこのチームBの環境に有る程度慣れてもらわないと駄目だよ」

石田「それにしても・・・凄い量のちゃんこ鍋だね。薫ちゃんに申し訳ない」

柏木(大丈夫かな、薫ちゃん・・・)

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
24 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:04:57.14 ID:hBDa7I2m0
 〜新四天王?席〜

光宗「ゲップ」

宮崎「薫ちゃん、どんどん食べて!」

光宗「いえ、流石に・・・」

 既に4杯目のちゃんこ鍋がお皿に盛りつけられている。

光宗(もうお腹が一杯で食べられそうにない・・・といっても・・・)

 もう無理です。みたいな表情を浮かべると、佐藤亜美菜が一睨みきかせてく。
 まるで「文句あんのか」とでも言いたげな表情である。

光宗「はい・・・食べます」

佐藤亜「よしよし」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
25 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:06:02.05 ID:hBDa7I2m0
>>22
はい。


 額に汗を浮かべながらも何とか鍋をお腹に入れる光宗。
 既に胃袋は限界を超えていて、戻しそうになりながらも必死の形相を浮かべて鍋を攻略していく。

光宗「ふ、ふうー」

増田「まだまだあるから、一杯食べてな!」

光宗「い、いえ。もう流石に・・・」

 光宗の胃袋は限界、という限界を超えて限界のむこう側に到着していた。
 しかし次から次へと盛りつけられる、そのてんこ盛りのちゃんこ鍋。全く減っている様子はない。

増田「いいんやで! 遠慮しなくて。レッスンでお腹空いてるやろうし、どんどん食べて!」

柏木「みんな!」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
27 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:07:06.77 ID:hBDa7I2m0
 そんな様子を見かねてか、柏木が声をかける。

柏木「もう遅いし、そろそろ帰ろ! 明日も朝早くからレッスンだし、あんまり遅くなったら大人に怒られるよ!」

佐藤亜「チッ。・・・そうだね、そろそろ帰ろうか!」

光宗(助かった・・・)

 帰りの準備を始めて席から離れる、佐藤亜美菜達。
 しかし光宗はその席から動くことが出来なかった。

柏木「・・・はい、薫ちゃんの荷物」

光宗「あ、ありがとうございます!」

柏木「大丈夫?」

光宗「はい、少し、いえかなり限界に近付いていましたが、柏木さんのおかげで最悪の結果だけは免れることが出来ました」

柏木「もう、そろそろ分かったかな。このチームBの現状」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
28 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:08:16.77 ID:hBDa7I2m0
光宗「えっ」

柏木「今、このチームBは『彼女』を失って勢力が崩れている。今まで亜美菜、みゃお、増田さん、に加えて今はいなくなってしまった『彼女』がリーダーであった四天王がいた」

柏木「でも『彼女』が止めてしまってから、きたりえを加え、新リーダーとして亜美菜を立て、新四天王が発足された」

柏木「・・・チームBの最大勢力であり、一番権力を持っていた四天王が解体されて新四天王になり、亜美菜達は焦っている」

光宗「一体、何の話をしているんですか柏木さん」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
29 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:09:37.68 ID:hBDa7I2m0
柏木「そこで亜美菜は、スーパールーキーとして名高い薫ちゃんを、どうしようと思っているの分からないけど、そっち側に引き入れようとしている」

柏木「味方にしようとしているかもしれない、それとももっと別の狙いがあるのかもしれない。気を付けて、油断していたらすぐにそっち側に引き込まれる」

光宗「・・・」

柏木「こうやって私が見ているところだったら、助け船を出せることが出来るけど、きっと亜美菜達は私の目の届かないところでも仕掛けてくる」

柏木「そうなった時にどうやって自分を保っていくか・・・」

光宗「だから、柏木さん何を言っている・・・」

柏木「ごめんごめん。とにかく、最終的な狙いはどうにせよ、亜美菜達の新四天王の狙いはね」

 柏木は神妙な顔をして言う。

柏木「薫ちゃんを太らせることだから」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
31 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:10:37.65 ID:hBDa7I2m0
 ■ネガティブな私でも■

 あれから色々な人の話を聞いて分かったこと。
 どうやら今までチームBには、佐藤亜美菜、宮崎美穂、増田有華、『彼女』の4人で結成されていた通称「四天王」が一番権力を持っていた。
『彼女』達はとにかくお菓子やカロリーの高いものが好きで、それを他人にも食べさせようとする悪い癖がある、ということ。
 ただし『彼女』が止めてから勢力図は様変わり。今まであまり口を出せなかった穏健派のキャプテン柏木が一番権力を持ち出した、ということ。
 確かに、『彼女』は1期生でチームBの初期から支えてくれた功労者の一人である。
 対して増田有華や小林香奈や河西智美は2期生で、柏木の先輩であるが、所詮組閣祭りでやってきた外様である。最初からいる柏木より権力を発揮できるか、となるとそうでもない。
 そして現在は佐藤亜美菜がリーダーで、北原里英を新メンバーを加入させて「新四天王」としてチームの立て直しを図っている、ということ。
 ちなみに穏健派のメンバーとして、石田晴香、鈴木紫帆里、渡辺麻友等がいる、ということ。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
33 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:12:47.01 ID:hBDa7I2m0
光宗(まさか、チームBがこんなにドロドロしてたなんてしらなかった・・・)

光宗(そして、最終的な狙いは分からないけど、新四天王の人達が私を太らせようとしていることも・・・私、これからどうなっていくんだろう)

 ネガティブ思考になり、溜息をつく光宗。

番組スタッフ「それでは、CM終わりまーす」

タ○リ「光宗薫ちゃんはどうなの、最近正規メンバーに上がった、ということで・・・何か研究生時代と変わった? 神切った?」

光宗「はい、勉強させてもらうことも多くて、えっとその・・・」

指原「やっぱ待遇が変わったよね! 公演で出る給料とかも変わったよね!」

光宗「は、はい。そうですね。今までやっぱり研究生ということで、差し入れとかもあんまりもらえなかったんですけど、正規メンバーに上がってからたくさん差し入れをもらったりと・・・」

タ○リ「へえー、そうなんだ・・・」

 そのまま良い感じで、特に放送事故もなしに番組は進んでいき、いつも通り番組が終わった。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
35 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:14:12.86 ID:hBDa7I2m0
光宗「ふう」

指原「おつかれ! どうやっぱり緊張した!?」

光宗「指原さん・・・」

 とある某番組。電話で友達呼んだりして、笑ったりする番組のことだ。
 その番組に呼ばれていた光宗は流石に緊張していて、たまに頭の中が真っ白になって何も話すことが出来なかったが、そんな時に助けてくれたのがレギュラーで先輩である指原莉乃である。

指原「まあ、最初は色々と慣れないことも一杯あるよ! いきなりこんな番組に出て、ペラペラ喋れる方が可笑しいしさ!」

光宗「はい」

指原「これから慣れていったらいいよ!」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
36 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:14:42.07 ID:hBDa7I2m0
 指原莉乃――人は彼女を「ヘタレアイドル」と呼ぶ。
 歌も下手だし、ダンスも下手だし、可愛くないし――番組の企画のバンジージャンプも二度も飛べない――。
 最近はマシになったが、天性的に勘が鈍く、台本があれば対応できるがアドリブに対応できずすぐにパニックになり、早口になる。
 豊作、と呼ばれた5期生の中でもおそらく指原はあまり期待されていないメンバーだっただろう。最弱と言われたチームBに入ったことからもこれは分かる。
 
指原「そういえばさ、チームBに昇格になったけど・・・どんな感じ? やっぱり疲れる?」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
37 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:15:13.81 ID:hBDa7I2m0
光宗「はい、色々と・・・」

指原「・・・もうチームBの勢力というか、人間関係みたいなもの分かっちゃった」

光宗「・・・はい」

 彼女の特徴としては、他人の個性を見抜いて、それを最大限に活かして場を盛り上げるという「プロデュース力」であろう。
 さらに元アイドルヲタクということで、他人だけでなく「自己プロデュース力」も高い。
 つまり彼女は歌もダンスも下手で、容姿も褒められたものではないが、頭と努力で研究生から超選抜にまで成り上がったメンバー、だといえるだろう。

指原「里英ちゃんから色々聞いてるけど・・・『彼女』が止めてから、色々と面倒臭くなっているみたいだね。チームB」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
40 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:16:05.51 ID:hBDa7I2m0
光宗「指原さんがチームBにいる時から、こんな感じでした?」

指原「いやいや。新チームBになってからかな、四天王なんて出来たのは。私のいる時は特に派閥とかなく、ゆきりんは腹黒だし、まゆゆは騒ぐし、はーちゃんは老けてるし、はるごんは走り回るし・・・とにかく自由」

光宗「はあ・・・」

指原「まあ、色々とあると思うけど・・・大丈夫、きっと薫ちゃんならやれるよ。今はゆきりんが一番権力持ってるらしいし、味方もいる」

光宗「・・・」

指原「それにもし、本当に困ったら私も味方になるし! 里英ちゃんに釘刺すことくらいは出来るから、何でも言って!」

光宗「ありがとうございます!」

光宗(うん! やっぱり指原さんは凄い良い人だ。こんな私なんかの味方になってくれる)

光宗(そう、全員が全員、私の敵じゃないんだ。味方も一杯いる。それにこういう人間関係はどんな社会にでも少なからずあるんだ。だからネガティブになるのは止めよう)

 そう言い聞かせる光宗。
 しかし光宗薫、この時はまだ分かっていなかった。新四天王の恐ろしさを、チームBの恐ろしさを、小森の馬鹿さ加減を。
 幕はまだ開けたばかりである。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
41 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:17:02.81 ID:hBDa7I2m0
 ■再就職の道〜とあるB級アイドル編〜■

浦野「レッツゴー♪ 渡り廊下で、初恋ダッシュ〜♪」

 場所は変わって、ここはとある某TV局。
 渡り廊下走り隊7の収録の日だ。

スタッフ「ありがとうございました! では10分休憩挟みまーす!」

浦野「ありがとうございました!」

 そう言って、近くの椅子に腰かける浦野一美。

浦野「ふうー! 疲れた」

渡辺「シンディー、シンディー」

浦野「あっ、まゆゆじゃん。最近大人っぽくなったね、君かわうぃねー!」

渡辺「はあ・・・(絡みづらっ)」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
42 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:18:15.65 ID:hBDa7I2m0
 浦野一美――元AKBでチームBのメンバーの一人である。
 組閣にて、SDN48に移籍となったが、そのSDNも今年に解散となってしまい、路頭に迷うことになりそうだったが――。
 起死回生、『彼女』が止めたことにより一つの枠が開くことになって、浦野が新加入メンバーの一人となった。

浦野「あっ、そうそう! チームBどんな感じなの。薫ちゃん入ったじゃない。いや、いいね〜。若いって、いいね〜」

渡辺「うん、まあそうなんだけど・・・」

浦野「うん? どうしたの、何か凄い暗い顔しているけど。何かあったの? まゆゆ、確か薫ちゃんのこと好きだったじゃない」

渡辺「いやー、私は凄く嬉しいんだけど。やっぱり薫ちゃんが入ったことによって、色々思うメンバーもいるんじゃないかと」

浦野「・・・?」

渡辺「やっぱり薫ちゃんって、殆ど研究生として下積みがなかったのに、真っ先に昇格したじゃない。やっぱり下積み経験が長いメンバーは色々思うこともあるんじゃないかと。人間関係の軋轢が心配で・・・」

浦野「そうかな? 別に新しく人が入って嬉しい、って思っているメンバーが殆どじゃないのかな」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
43 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:18:58.48 ID:hBDa7I2m0
 流石、渡り廊下走り隊7に入る、という時に慌てていた現メンバーを尻目に「渡り廊下走りたいわー」と言ってはしゃいでいた浦野の言葉は違う。

浦野「まあ、気にしすぎだって! みんな、そんなに何も思ってないって! 大人の事情はいい加減分かる歳だしさ」

渡辺「・・・そうかな」

浦野「うん、だからまゆゆはそのままで良いと思うよ! 自分らしく」

 浦野は知らない。
 自分がいなくなってから、四天王たるものが結成されて派閥が分かりやすくなった、ということも。
『彼女』がいなくなって、現在チームBの人間関係は不安定な状態にある、ということも。
 鈍い彼女に知るよしもない。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
44 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:19:42.43 ID:hBDa7I2m0
スタッフ「それでは本番始まりまーす」

浦野「あっ、まゆゆ。本番、始まるよ! 今度は完璧ぐ〜のね、7人バージョンか! 私、この曲大好き! だって私の魅力を一番発揮出来る曲だと思うから」

渡辺「うわぁ・・・」

浦野「よーし、行くぞ! はりきって、いきましょい!」

渡辺「相変わらず、微妙に古いし」

 ――こんな浦野であるが、どうしてもチームBに入れる、となった時に最適なメンバーの一人であろう。
 まず事務所が尾木プロだということ。
『彼女』がいなくなったことにより、仕切り役がいなくなってしまったこと。
 そして旧チームBのメンバーが殆どの渡り廊下にとって、苦楽を共にしてきた浦野が加入する、ということ。

浦野(よーし! これから頑張っていこう! ここで頑張ったら、もしかしたらAKBへの再就職も可能になるかもしれないし!)

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
45 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:20:11.98 ID:hBDa7I2m0
 人一倍張り切っている浦野。
 こんな浦野の姿からは想像も出来ないが、旧チームBのキャプテン格存在であったこと。
 リクエストアワーにて「初日」が一位になった時、最初の円陣で声を出していたのは浦野だということ。
 そして、前田敦子、松井珠理奈、小野恵令奈を差し置いて黄色を着てセンターで踊っていたのは浦野だということ。
 旧チームBの、最大の功労者とも言っても過言ではないメンバーの一人だということ。
 これからの物語を知る上で、外せない物語である。

浦野「七ぐーのね! 完璧ぐ〜のね――」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
48 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:21:11.16 ID:hBDa7I2m0
■授業終わり、ベルが鳴ったら■

光宗「うわ、やばい・・・やっぱりお腹の肉が付いてきている」

 光宗は自分がグラビアで表紙を飾った雑誌を見て呟く。

光宗「あれから僅か1ヶ月で8キロも太ってしまった・・・チームB恐るべし」

小森「何が恐ろしいんですか?」

光宗「うわ! ・・・あっ、小森さんですか・・・気配を消して近付くの止めてください」

 小森美果――天然と呼ばれ、ちょっとお馬鹿というか、少し明後日の方向を見ているとしか考えられない、不思議少女である。

光宗「いえ、別に何でもないですよ・・・多分、聞き違いです」

小森「聞き違いか・・・」

光宗「はい、聞き間違いです」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
51 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:22:15.55 ID:hBDa7I2m0
光宗(相変わらずつかみ所のない先輩だ。何を考えているのかさっぱり分からない)

小森「それより、スタッフさん達がお菓子の差し入れをしてくれたから食べよ。あっちあっち」

光宗「はい・・・(げっ)」
 
 小森が指さした方向には、新四天王の一人で宮崎美穂の姿があった。
 宮崎は鈴木紫帆里と一緒にお菓子を食べている。

光宗(宮崎さんか・・・)

宮崎「あっ、薫! 早く食べよ! なくなっちゃうよ」

光宗「い、いただきます・・・」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
53 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:23:08.16 ID:hBDa7I2m0
 嫌々ながら――といっても、そんな素振りは一つも見せずにお菓子に手をつける光宗。

宮崎「それにしても、紫帆里と薫、やっぱり細いねー。ちゃんと五食食べてるの?」

光宗「(五食・・・?)・・・ちゃんと人並みには食べているつもりですよ。ただ、人より少し小食で」

宮崎「AKBに限らず、この世界ってやっぱり体力勝負だからさ。一杯食べて、体力貯えないと」

光宗「はあ・・・」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
57 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:27:16.68 ID:hBDa7I2m0
 だけど、あなたを見ていたら、食べても体力つくと思わないんですけどね・・・と言いそうになったが、喉元で堪える。

光宗「・・・」

宮崎「どうしたの、薫。手進んでないよ。もしかして先輩に遠慮して、食べられないんじゃないの? いいよいいよ、どんどん食べて」

鈴木紫「あああー! そうです! 薫ちゃん、あれだよね、最近テレビや公演で忙しくて少しバテ気味なんだよね。だから食べ物も喉を通らない――」

宮崎「いやいや、そういう時にこそ無理矢理にでも一杯食べないと。知ってる? 力士も最初は吐きながらちゃんこ鍋食べるみたいだよ」

光宗「(いつの時代だ・・・)は、はい・・・いただ」

柏木「こらー、みゃおー!

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
58 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:28:03.74 ID:hBDa7I2m0
 何処からともなく、目を見開いて柏木登場。

柏木「一人で食べちゃ駄目だって! チームBみんなのために、っていうことでもらったんだから。残しとかないと!」

宮崎「・・・そうだね。ごめん、亜美菜ちゃんのためにも残しとかないとね」

光宗「ホッ」

柏木「ヒソヒソ・・・薫ちゃん・・・断らないと駄目だよ」

 ヒソヒソ声で光宗に話し掛ける柏木。

光宗「はあ・・・でも、先輩の命令だったらなかなか断れなくて」

柏木「別にそんな体育会系みたいな上下関係考えなくていいの! もちろん、良いことだけどね。断らないと駄目だよ・・・ほら、雑誌のグラビアも少しお腹に肉ついてきてるしさ」

光宗「そうなんですよ・・・紫帆里さんは凄いですね。後輩で、後からチームBに入ってきたんだから、こんな風に餌付けさせられそうになったんじゃないですか?」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
59 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:28:54.39 ID:hBDa7I2m0
鈴木紫「薫ちゃんみたいに酷くなかったけど・・・なんか、私、食べても身長に行くだけで、そんなに太らない体質みたい」

光宗「羨ましい・・・」

宮崎「薫―!」

光宗「はい?」

宮崎「レッスン終わりで、お腹も減ったしご飯食べにいこう。近くに美味しいラーメン屋さんあるんだ」

光宗「(さっき食っただろ)い、いえ、私は」

宮崎「よし、行こう!」

 宮崎に無理矢理腕を引っ張られてついて行かされる。

光宗「あ〜、柏木さんー」

柏木「・・・頑張りなさい」

 アーメン、そう小さく呟く柏木。
 絶望感に打ちひしがれながらもついて行かざるを得ない光宗。
 余談であるが、帰宅した後に体重計を見て悲鳴を上げたのは言うまでもない。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
60 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:29:28.22 ID:hBDa7I2m0
 ■食べ過ぎて、胸焼けて、僕は苦しい■

佐藤亜「薫は、順調に10キロ増量か・・・」

???「はい、確かな情報です。前、後ろからコッソリ体重計を見たらそう表示されてましてから」

増田「順調に、体仕上げてきてるなー。これは期待の新人やで」

佐藤亜「うん・・・」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
61 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:30:07.93 ID:hBDa7I2m0
 ここはとある、宮崎お勧めの焼き肉屋――。
 新四天王に一人を加えた五人で、肉をつつきながら緊急会議をしている。

北原「そりゃあ、深夜にラーメンとか焼き肉とか付き合わせていたら、こうなるよね」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「でも、油断しちゃ駄目。油断したら、薫のことだからしっかりダイエットしてきて、体を絞ってくる」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「だからペースを緩めては駄目。緩めた瞬間、奴は猛烈なペースで追い上げてくるだろうから」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「お前は食べ過ぎだっちゅうの!」


光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
62 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:31:01.94 ID:hBDa7I2m0
 宮崎の頭を叩く亜美菜。

北原「そうですね・・・モグモグ・・・プロ意識は高そうですしね、確かスカウトか何かでしたっけ? 明かに他の研究生とは違いますしね・・・モグモグ」

???「北原さんも、口のものなくしてから喋りましょうよ」

佐藤亜「うーん、それにしても、ゆきりんの邪魔も入るし、なかなか楽屋では餌付けしにくい。相手はテレビ出演が多くてなかなか一緒になる機会もないし」

増田「そうやな、ゆきりんをどう食い止めるかがポイントなってくるやろうな」

佐藤亜「今のとこ、選挙でも上、私4期でゆきりん3期で先輩だしあまり強く言えないし・・・有華ちゃん、もう少しなんか言えないの? 2期生でしょ」

増田「あかん。所詮、私は外様の一人や。そこまで強くは言えへん」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
63 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:31:50.39 ID:hBDa7I2m0
『彼女』をなくした穴はでかい。亜美菜はそう感じていた。
 今まで強く意見を言えていた『彼女』が四天王にいたからこそ、四天王のはチームBの中でも最大派閥となっていた。
 しかし『彼女』がいなくなってから、どんどん四天王の自分の発言力は弱まっていくばかり。メディア選抜付近の北原を新戦力としていれたが・・・これも特効薬とはいかない。
 そう、亜美菜は焦っていたのである。

佐藤亜「ちょっと、???。何か良い情報ないの?」

???「そうですね。ありまへんね。北原さん、口元に焼き肉のタレがついてますよ。取ってあげましょ」

北原「あ、ありがと」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「てか、???で伏せた意味ないじゃん! 横山!」

???→横山「何のことですか?」

佐藤亜「いや、こっちの話」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
64 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:35:13.56 ID:hBDa7I2m0
 そうである。
 北原を加入させた意味は、この横山を戦力に加える意味もある。
 といっても、あくまで裏の顔として、だ。横山は案外、選抜メンバーの一人であるので選挙上位とも付き合いがあり、さらに9期生ということでチーム4との交流もある。
 あくまでスパイとしてのような形で、横山には戦力として加わってもらっている。

佐藤亜「まあ、こうでもしないと、権力はどんどん弱まっていくということで・・・」

横山「それにしても、薫がこうやってチームBに入ることによって、選挙はどのように変動するのでしょうか」

佐藤亜「・・・」

横山「今のところ、やはりメディアを使ってのゴリ推しをしてきているメンバーは選挙上位にきている。この法則でいくと、薫も選挙上位にいくはず・・・」

北原「ちょっと、由依・・・」

横山「あっ、すいません・・・」

佐藤亜「いいよ」


光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
65 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:35:52.67 ID:hBDa7I2m0
 おそらく総選挙において最もナイーブになっているのは亜美菜である。
 選抜メンバーが16人となり、第二回、第三回共に18位である亜美菜はおそらく崖っぷちと言っても良いだろう。

宮崎「まあ、流石に無理なんじゃない!?」

 宮崎は焼き肉のタレを飛ばしながら言う。

宮崎「ほら、AKBって努力と根性が至上じゃん。実際、去年だって横山入ったり、しーちゃん入ったりしてたし。やっぱりいきなり、1年目で選挙上位は無理なんじゃないかな・・・」

佐藤亜「そ、そうだよね! まあ、このまま順調に餌付けをしていけばファンも離れると思うし! 頑張りましょう! ほら、お肉も焼けてきているし、食べよ食べよ!」

 自分に言い聞かせる佐藤亜美菜。
 彼女の物語を紹介するのはまだ先のようで――。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
67 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:37:03.77 ID:hBDa7I2m0
 ■痩せなさい■

 ――痩せなさい――。
 いよいよ言われてしまった。
 何だかんだいっても、元が凄いガリガリ体質なので目立たなかったが、流石に1ヶ月ちょっとで10キロの増量は不味かったらしい。
 小さな溜息をつく光宗。

光宗(よし! 今日からダイエットだ! 出来るだけ、ご飯とかも断れるようにしよう!)

 そしてもう一つの対応策、というか今まで通りであるが、出来るだけ柏木と仲良くしておくことにした。
 今のところ、新四天王を止めることが出来るのは柏木だけなのである。柏木と一緒にいる限りはそんな無茶な食べさせ方はしてこない。

光宗(といっても・・・柏木さんも凄い忙しいみたいで、なかなか一緒になる機会はないし・・・そういう時は早めに帰るしか対抗策がない・・・)

スタッフ「それでは休憩入りまーす」

光宗「おつかれさまでーす」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
68 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:38:35.60 ID:hBDa7I2m0
 ここはとあるドラマ撮影場。
 何とゴールデンタイムのドラマに出演が決まった光宗。といってもあくまで主演とかではなく、1話限定のチョイ役としての出演であったが。

光宗(今日は、チームBのみんなと離れて一人お仕事。特に気を張る必要もない・・・か)

スタッフ「薫ちゃん、さっきの演技良かったよー。この調子で次の場面も頑張って」

光宗「は、はいありがとうございます!」

スタッフ「それにしても、あっちゃんと全然喋らないねー。一緒のメンバーなんだから、もっと仲良いと思ってた」

光宗「・・・前田さんは雲の上の存在みたいなものですから・・・」

 そう言って、視線を変える。
 そこでは木の木陰で座りながら目を閉じている前田敦子の姿がある。
 ――そうである、光宗はこのドラマのチョイ役であったが、そのドラマの主演とは前田敦子なのであった。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
69 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:39:45.67 ID:hBDa7I2m0
主演とは前田敦子なのであった。

前田「・・・zzz」

光宗(前田さん、休憩入ったらいつも寝てる・・・)

 余談であるが、5分でも10分でも、短い時間で仮眠が出来る人は時間の使い方が上手く、所謂「仕事が出来る」人であるらしい。
 そう言った意味では、前田は「仕事が出来る」人間の一人であろう。

スタッフ「それでは次のシーン入りまーす」

前田「はい、お願いしまーす」

光宗(流石、前田さんだ・・・今まで寝てたのに、仕事が再開されたら、すぐにスイッチを切り替えられる)

 ある種の才能――だと思う。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
70 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:40:37.28 ID:hBDa7I2m0
 ある種の才能――だと思う。
 こうやって、次のシーンも無難に取り終わり、光宗の出番は終了となった。

光宗「ふうー」

前田「こうそうかおる、ちゃんだっけ? 初めましてー、前田敦子でーす」

光宗「うわっ! 前田さん・・・」

 今日初めて、あちらから話し掛けてくれた前田。

光宗「あ、あの、みつむねです。みつむね」

前田「あっ、ごめんごめん。珍しい名字だよねー」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
71 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:41:23.21 ID:hBDa7I2m0
 珍しい――光宗はそう思う。
 他人から聞いた話も合わせると、光宗の前田に対する印象は「人見知り」の一言である。
 心を開いたメンバーにしか自分から話し掛けたりしない。おそらくそのメンバーも高橋みなみ等の限られたメンバーだ。
 そんな前田が話し掛けてくれるなんて・・・。

光宗「いえいえ」

前田「すっごい出来てたじゃん。関心したなー。私、最初は全然だったし」

光宗「いや――前田さんの方が凄いですよ」

前田「・・・頑張ってね」

光宗「えっ」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
72 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:41:54.79 ID:hBDa7I2m0
前田「多分、今から色々と言われると思うけど・・・全員が全員、敵じゃないから。大体が、薫ちゃんのこと分かっていない人達が、無責任に言う誹謗中傷だから」

光宗「・・・」

前田「といっても、温かい言葉もたっくさんある。ネットの言葉は厳しいものもあるけど、ネットの人達もみんな優しい」

 ――これを言うのに、どれだけの悟りを開いているのだろう。
 あれだけ、「顔面センター」だったり「やる気ない」と、AKBのファンから、アンチからも叩かれ続けた前田敦子。
 そんな少女が言う「ファンは温かい」という言葉はあまりにも重すぎた。

光宗(やっぱり、前田さんは凄い・・・まだ20歳むかえたばかりなのに、人間出来ている。私も見習わないと)

 そう思う。
 前田の一言をきっかけに――物語は動き出す。

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
73 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:42:35.84 ID:hBDa7I2m0
 ■金閣寺よりも輝きたい■

 横山は一人、歩いていた。
 テレビ出演の給料が入ったため、服でも買おうと思っていたからだ。

横山(AKBINGOの私服ファッションショーの出演も決まってるしな・・・そろそろ良い服買って、みんなを見返さないとあかん)

 そんなことを思いながら、お店のショーウインドーに釘付けになる横山。
 そんなお店は人通りの少ない、裏路地のような場所にあった。

横山「うわあー、これ凄い可愛いなー」

 紫とピンクが混じったような、まるで片山がデザインしたかのような、そんな前衛的なデザインをしている服。
 それに横山は目をとられた。

横山「一体、これ何円やろ・・・うわ」

光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」
74 : ◆Q5rNtE.wug []:2012/04/29(日) 18:45:52.87 ID:hBDa7I2m0
 下にある値札を見て目が仰天する横山。
 そこにはゼロが5つ繋がっており、その先頭には3の数字が。

横山「買いたいけど、流石にこれは無理やな。違うお店に行こうか」

???「その服が欲しいのかい?」

横山「・・・? はい?」

???「なら買ってあげるよ」

横山「いやいや、そんな」

 見たこともない人――包み隠さず言うなら「不審者」が横山に話し掛けてきた。
 身なりはまあまあキレイにしているが、その内面から出る胡散臭さは隠しきれていない。

横山(何やろ、この人。もしかして新手のナンパかいな)

???「これくらいなら、僕買ってあげれるし。付いてきて」

横山「いえいえ、そんなそんな、悪いですよ」

???「いいから、早く、付いてきて!」

 一気に声が荒げる「不審者」。

横山「いや、良いです・・・さ、さような!」

 タオルで口を覆い隠されてから――そこからは記憶がない。

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